いつもより少し早めに学校に着き、

まだ数人しかいない教室で、おれは静かに席についた。

……誰も、おれに声かけるとかしない。

おれもしないからあたりまえなんだけど。


座ってカバンからノートを取り出していると

賑やかな集団が教室に入ってくる。二階堂のグループの奴らだ。

二階堂は……?


「お!俺より早くいるとは。
はよー、碓氷」

「あっ、お、おはよ…!」


集団の最後に入ってきた二階堂が普通に挨拶してきて、挨拶を返したけど

まわりの『なんでコイツに挨拶?』みたいな視線が痛くて、顔をうつむかせた。

そうだよな。昨日まで仲良くもなかったのに、なんで二階堂が挨拶してくるのか不思議だよな。

二階堂のまわりの人のことを気にしてなかったなって思ってたら、

いつもおれに挨拶してくれる女の子が、いつの間にかおれの目の前にいた。


「碓氷くんおはよ!」

「え…あ、お、はよ…」

「やった!
おはようって言われた!」


二階堂に挨拶した感じで同じように挨拶したら、なんかとてつもなく嬉しそうな笑顔を見せられた。

……え、と、そんなに嬉しいこと…?

いつも一応、返事はしてたんだけどなぁ…。