………ずるいな。

そんな笑顔向けられたら、断れるはずない。


「お、おれなんかと、友達になりたい、なんて、
おまえ変わってる…」

「なんで?
碓氷、変なやつじゃないじゃん」

「お、おまえは許容範囲が広すぎんだよ!」

「そおか?」


アニメオタクなの知っても『変なやつじゃない』って言えんの、クラスで二階堂だけだろ。


たぶんおれが、二階堂の言う通りちょっと顔がいいから

みんなガッカリするんだよ、普通は。


「二階堂、やっぱり変わってんな」


だけどやっぱり、引かれなかったのは嬉しくて。

照れくさくて、ちょっと赤くなった顔を隠すようにうつむいた。


「べつに変わってねーよ。
さっきも言ったろ。碓氷顔綺麗だからモテるって。

そんなやつの秘密を俺だけが知ってるって
ちょー優越感じゃね?」

「……おれも」


人気者の二階堂の秘密を知ってて

放課後を独り占め。


誰も知らない、おれだけが知ってる二階堂。

それはものすごく、優越感。