───…


「……」

「いやぁ、笑って悪かったって。
今思えば俺も最初はあんなだったわ」


笑われて不貞腐れながら帰るおれに、二階堂は何故かついてきて、どういうわけか一緒に帰る羽目に。

で、なんだよその取ってつけたようなフォローは。いらねーよ!


「けど碓氷、
綺麗な顔してんのに、
あーいうの好きなんてもったいねー」

「………は?」

「碓氷、綺麗な顔だなって前から思ってた。
意外と狙ってる女子多いんじゃね?
今日も挨拶してた子いたじゃん」


モテてんな、と歯を見せて笑う二階堂。

いや。おれが反応したのはそこじゃない。


「『もったいねー』ってなに?
美少女アニメ好きなのって、そんなにマイナス?」


今のって、アニメオタクなとこが〝残念〟って言い方だったよな?

これ、そんなに悪いこと?


「なんで男が美少女アニメ見たら『キモい』の?
じゃあなんで女がイケメンだらけのアニメ見るのはキモくないんだよ。意味わかんねー」

「………」


つい、二階堂の言い方にイラついて吐き捨てるように言ってしまう。

気を悪くしたか?と思ったけど

二階堂はびっくりした顔をした後


「………たしかに!
それは不公平だな」


おれの意見も認めてくれたのか、『嫌な言い方してごめん』と謝られた。