「……おーい、そんなわかりやすく照れんなよ。
俺も照れるじゃん」

「瑠夏が照れさすようなこと言うからだろ!」

「こんなんで照れてたらこの先もたねーぞ」


そう言われると言い返すこともできなくて、うぅ…と声を漏らした。

本当、瑠夏はずるいよ…。

そりゃあ女子は好きになっちゃう…って、あ、そうだ。


「昨日、あの後どうだった…?」


あの感じからしても、瑠夏は歩梨さんの用事が告白だってわかってたみたいだった。

なんて返事したのか、気になって聞いてみる。


「告られたけど、
……『恋人がいるから』って断った」

「……!」

「いいんだろ?恋人で」


瑠夏の問いに、コクコクと頷く。

おれもさっき言っちゃったもん、『恋人がいる』って。

気持ちが通じるって、こういうことなんだ。

同じ気持ちって、なんて幸せなんだろう。


「……で、そっちは?」

「え?」

「松雪さんと、なに話してた?」


『彼女いる?』って聞かれたことと、『恋人がいる』って答えたことを瑠夏に話したら

瑠夏は嬉しそうにニヤニヤしてた。


「俺、千早は俺のだって言いたかったけど、
この優越感得られんのはたまんないな」

「え?優越感?」

「そうそう。
さっきみたいに、『私が千早と一番近い』って勘違いしてる子に『俺だよバーカ』ってマウント取るのが気持ちいいなーって」


うわ…性格わるっ。


「……え、ドン引かないで?」

「瑠夏ってまじで女子にアタリ強いな…」

「〝女子に〟じゃなくて、
〝千早に近付く人に〟な」


……はぁ。

そう言われたら、松雪さんには申し訳ないけど、嬉しいと思っちゃうじゃんか。


「正直俺は、今は藍と瀬戸にだってアタリ強くしたいと思ってる」

「なんで!?
友達じゃん!」

「いやアイツら馴れ馴れしすぎな?
ジュース回し飲みとか結構根に持ってるから」