こんなにも〝恋心〟に振り回されたのに

今は人生で一番幸福だとさえ感じる。

顔が熱いのも、心臓がバクバクしてんのも、

走って息苦しいのさえ、全部幸せだ。


奇跡みたいなことが起こったと、すぐに誰かに共有したくて。

おれが瑠夏を好きなことを唯一知ってる祐希に、気付けば電話してしまっていた。

……あ、祐希今、彼氏と一緒とかじゃないだろうか…。

急に不安になってコールしてる間に切ろうとしたけど。


『もしもし千早?』

「祐希!」


スマホから聞こえた声に返事する。

電話して大丈夫だったか聞いたら、祐希は『大丈夫だよ』と言ってくれた。


「祐希、おれ、
う、上手くいった、かも…!」

『えっ!』

「好きって伝えたら、
あっちもおれのこと好きって…」

『やったじゃん!』


祐希の嬉しそうな声を聞いて、鼻の奥がツンとする。

話を聞いてくれた時から、祐希なら否定しないって思ってはいたけど。


『おめでとう!』


そんな祝福の言葉が、おれには涙が出るほど嬉しかった。


「あり、がと…!
祐希が話聞いてくれたおかげ…」

『そんな、ぼくはなにも…(ぶっちゃけ面白がってただけだし…)』

「あ、そうだ」


今、祐希は言ってくれたね。


「祐希、彼氏できたの、おめでとう」

『え、なに今さら!』

「言うの、忘れてたと思って」


こうして祝いの言葉をもらうのがどれだけ嬉しいことか。

わかったから、やっぱり言わずにはいられなかった。


『……なんか、千早と恋バナしてると照れくさ〜!
けど、ありがとね、千早』


『ごめんこの後彼氏と約束あるから!』と祐希は電話を切った。

……ありがと、祐希。

話したら嬉しさと、瑠夏への好きって気持ちが改めて込み上げてきて、スマホをぎゅっと握りながら歩いて帰った。

たぶんその時のおれの顔は、相当ニヤけてたと思う。