「 ありがとう!優しいね 」

「 いつも笑ってて人生楽しそうで羨ましい 」

「想乃ちゃんって気遣い上手だよね 」

優しくないよ。楽しくないよ。仮面を見てるだけだから。私自身は何もしてこなかったんだから。
でもそうしていれば__

『___さっきみたいに笑え』

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「っ…!はぁはあ…夢、か…」

今までに何度も言われてきた言葉。もう聞き飽きたというのに夢にまで出てくるなんて。

目覚める前に聞こえた声を思い出す。
前に、彼に…言われた言葉。さっきみたいって私はどんな風に笑っていたんだろうか。自分でもよく分からない。
唯に言われた言葉と同じだ。今もふと頭によぎってしまう。あれからずっと考えている、私はいつまで仮面を見ているんだろうって。
私はこの命が尽きるまで…ずっと、ずっと見続けるのだろうか。唯にも、嘘をつき続けるんだろうか。

ずっとまとまらない頭で考えている。

とうとう今日は、修学旅行の前日だ。明日は月曜日。
土日にしっかり荷物をまとめておいておけと先生に言われていたのだ。

修学旅行までには考えをまとめようと思っていたのに、やっぱり私には難しいと感じてしまう。

利き手を急に変えろと言われても変えられない。
いきなり目を瞑りながら生活しろと言われてもできない。私にとって仮面とは、それくらい"当たり前"のものだから。

そんな事を寝起きの頭の中で考えていたが、まだ何も明日の準備をしていない事に気付く。

「とりあえず準備…しないと」
まだモヤモヤする頭を一度ふってから私は下の階へと向かった。