「想乃?どこ見てるの」
唯の言葉にはっとして「今誰にすればいいか考えてて…」とそれらしい事を返すもなにやら唯は私が見ていた方向を見てニヤリと口角をあげている。
「宙くん?宙くん見てたでしょ!それか彗くん?!」
恋バナに目がない彼女の前でするべきではなかった自分の行動にやらかした…と頭を抱える。
そんな私達の会話が耳にはいってきたのか、ばちっと私が先程見ていた宙くんと目が合ってしまう。
それに気付いた彗もすぐにこちらを見てきてなにやら二人で話している。
すぐに会話が終わったのかなぜか次は彗がずかずかとこちらに近付いてきた。
「…え」
なんで近付いてきてるの?!と心の中で思うもその足は虚しくも私達の机の前で止まった。
「なあ、修学旅行の班さ一緒に組まない?」
その言葉にピシッとクラスが一瞬静かになるのを感じる。多分唯を狙っていた男子達…そして彗や宙くんを誘おうと伺っていた女子達の仮面が少し曇る。
唯が誘われるのは分かる。でも私は…なんでお前が?と思われてしまいそうな気がしてならない。
「え!いいの?うちらも今誰と組めばいいか悩んでたんだよね 」
私の気持ちとは反対に唯はまたもやキラキラと目を輝かせている。けれどその仮面は桃色に染まってる訳でも照れた表情を浮かべている訳でもなかった。
純粋な笑顔を向けているのを見るとやっぱり好きという気持ちとは違うのか…としみじみ思う。
けれど私はどうしても周りの視線が気になってしまう。グループが5人なら私が抜ければ男女共に二人は入れるだろうか。
そんな事を考えるも皆の前で不自然に断るのもおかしいし失礼だ。
どうしたら…とぐるぐる頭を悩ませていると私よりも先に彗の後ろにいた宙くんがちらっと顔をだす。
「たまたま俺らも班どうしようかなーって悩んでてさ。想乃ちゃん迷わず行くの得意じゃん?」
その言葉に前に一度、校外学習の時にクラスの女の子が迷子になってしまい「捜してくるよ」と言って連れ戻したことを思い出す。あの時はクラスの皆の表情も曇っていてあまり雰囲気がよくなかった。
その女の子はあまりクラスに馴染めていなくて…周りの人も「面倒くさい」「何してんの」と仮面を見ずとも分かる不満の声が聞こえてきていた。
とりあえずあの場を収める為にも私が行ったおかげで早めに不満は収まったのだが。
「俺ら方向感覚とかあんまないからさ、いてくれたら助かるなぁって。無理はしないでね」
笑みを浮かべながらそう言ってくれている宙くんは私の考えを何となく分かっての言葉だと察する。
その言葉を聞いたからか周りのクラスメイトの仮面の曇りは少し晴れている。きっと"私"ではなく私のもつ"方向感覚"という表現を宙くんがしてくれたからだろう。
唯の言葉にはっとして「今誰にすればいいか考えてて…」とそれらしい事を返すもなにやら唯は私が見ていた方向を見てニヤリと口角をあげている。
「宙くん?宙くん見てたでしょ!それか彗くん?!」
恋バナに目がない彼女の前でするべきではなかった自分の行動にやらかした…と頭を抱える。
そんな私達の会話が耳にはいってきたのか、ばちっと私が先程見ていた宙くんと目が合ってしまう。
それに気付いた彗もすぐにこちらを見てきてなにやら二人で話している。
すぐに会話が終わったのかなぜか次は彗がずかずかとこちらに近付いてきた。
「…え」
なんで近付いてきてるの?!と心の中で思うもその足は虚しくも私達の机の前で止まった。
「なあ、修学旅行の班さ一緒に組まない?」
その言葉にピシッとクラスが一瞬静かになるのを感じる。多分唯を狙っていた男子達…そして彗や宙くんを誘おうと伺っていた女子達の仮面が少し曇る。
唯が誘われるのは分かる。でも私は…なんでお前が?と思われてしまいそうな気がしてならない。
「え!いいの?うちらも今誰と組めばいいか悩んでたんだよね 」
私の気持ちとは反対に唯はまたもやキラキラと目を輝かせている。けれどその仮面は桃色に染まってる訳でも照れた表情を浮かべている訳でもなかった。
純粋な笑顔を向けているのを見るとやっぱり好きという気持ちとは違うのか…としみじみ思う。
けれど私はどうしても周りの視線が気になってしまう。グループが5人なら私が抜ければ男女共に二人は入れるだろうか。
そんな事を考えるも皆の前で不自然に断るのもおかしいし失礼だ。
どうしたら…とぐるぐる頭を悩ませていると私よりも先に彗の後ろにいた宙くんがちらっと顔をだす。
「たまたま俺らも班どうしようかなーって悩んでてさ。想乃ちゃん迷わず行くの得意じゃん?」
その言葉に前に一度、校外学習の時にクラスの女の子が迷子になってしまい「捜してくるよ」と言って連れ戻したことを思い出す。あの時はクラスの皆の表情も曇っていてあまり雰囲気がよくなかった。
その女の子はあまりクラスに馴染めていなくて…周りの人も「面倒くさい」「何してんの」と仮面を見ずとも分かる不満の声が聞こえてきていた。
とりあえずあの場を収める為にも私が行ったおかげで早めに不満は収まったのだが。
「俺ら方向感覚とかあんまないからさ、いてくれたら助かるなぁって。無理はしないでね」
笑みを浮かべながらそう言ってくれている宙くんは私の考えを何となく分かっての言葉だと察する。
その言葉を聞いたからか周りのクラスメイトの仮面の曇りは少し晴れている。きっと"私"ではなく私のもつ"方向感覚"という表現を宙くんがしてくれたからだろう。