こんなに感情豊かな高校二年生がいるなんて……。



百面相する矢野くんの横顔をひっそりと眺めながら、私は乱れた息を整える。



そして……。



「ねぇ!」



私は彼に話しかけた。



彼の驚いたような顔が私を捕える。



「ねえ、何読んでるの?」




びっくりした顔の矢野くんを、私は目の前で見る。



目が合った。



君の大きな瞳に私が映ってる。



もっと、近づきたいな。



彼の隣にしゃがみこみ、彼の顔を覗いた。