お母さんの買い物。



それを考えるよりも先に私は、矢野くんを全力で追いかけた。



漕ぐのが早めの矢野くんにはなかなか追いつけないけど、私の結構早い足で追いかけ続ける。



自転車と違って体力を大幅に使うけど、矢野くんのためならっ!



「っ……はぁ、はぁっ」



矢野くんが河川敷の橋の下に行き、その場に自転車を止めたのを見た。



カバンの中から水と本を取り出して、芝生に座った。



そしてブックカバーのついた本をめくって、読み始める。



本を熱心に読む彼の表情はコロコロと変わってく。



嬉しい時は笑ったり、目を大きく開けて驚いたりして、悲しい時は目を潤ませる。