だって教室に入ってきたのは、ずっと会いたかった、話したかった矢野くんだったから。



「桂……さん?」



「え、あ……っ」



や、やばい……、矢野くんの机に手をついて見ていたのバレたっ……!?



冷や汗が伝いそうになり、私はその場から駆けだす。



本当は矢野くんとはなしたい。



矢野くんの笑顔をそばで見たいよ。



でもさ……、でもっ……。



いきなり会いたかった人が目の前に来て、私の名前を呼んでって……!



というかなんで私の名前を知っているの……!?



私が彼に認知されていたのが嬉しくて、私は顔が熱々になる。



今これだけ熱いんだから矢野くんの前では、既に顔が赤くなっていたと思う。