📚 本に恋して 📚 第14回『人を動かす[完全版]』③ (D・カーネギー著、東条健一訳:新潮社)


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赤ちゃんは一人遊びに疲れたのか、眠ってしまいました。

ベビーベッドに寝かせて部屋に戻ると、

クマちゃんが寂しそうに部屋の隅で天井を見上げていました。

いたるところにおもちゃが散らかっています。

白い紙とクレヨンも散らばっています。

どこから引っ張りだしたのか、
靴下もあちこちに片方ずつ投げ捨てられています。

それを見て思いました。

「家なんて もっと汚くてもよかった」

「洗濯物も ためちゃえばよかった」

「家事なんて、全部あとまわしにしたらよかった」

片付けながらつぶやきます。

「もったいないこと しちゃった」

「だって あんな時間は もう二度とない」

気づくと、片付けもしないで、ドアを開け、外に出ていました。

緑の木々と風に舞う花びらを見つめながら思います。

「気がつけば あなたは 新しい夢に夢中で 自分の足で どんどん あるいていくんだろう」

そうなのです。
もうただの赤ちゃんではないのです。
自分というものを持った一人の人間なのです。