「まさか、森でなにかあったのかしら」
「森?」
「あの子たち、ときどき森に遊びにいってるんです。それは知ってるんですけど、こんなに帰ってこないなんて初めてで」
「それは心配ですね」
 セリオンはうーんと顎に手をやり、考える。
「森には私が探しに行きます。あなたは村の人と一緒にほかに行きそうなところを探してください」
「でも、森は」
「私は神官ですから、神の怒りを買うことはないでしょう。早く、日が沈む前に探し出さないと」
「わかりました」
 彼女は頷き、足早に立ち去る。
「なんか良くない感じがしますね」
 セリオンは顔をしかめ、ボソリとつぶやいた。

***

「なかなか現れないな」
 傾いた日に、男がため息をつく。
「しょせん動物だからな」
「待つしかないさ」
 仲間が答える。
 あれからずっと、クラナンは大人たちと同じ場所にいた。
 ファービアは怖がって泣いたが、大人に脅されて泣くことすらできなくなった。
「ユニコーンは高く売れる。生け捕りにしろよ」
「わかってるって」
 大人たちの会話に、クラナンはただ恐怖した。