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 森を進んだクラナンは、以前ユニコーンを見かけた場所まで訪れた。
「前はここで見たんだ。一度だけなんだけど」
「一度でもすごいことだ。なあ?」
 一人が言うと、ほかの二人は、違いない、と頷く。
「ここは内緒なんだろ? ほかの大人は知らないんだよな?」
「うん」
 聞かれたクラナンは頷く。神官様とレナシェル以外には誰も知らないはずだから。
「君らが今ここに来てるのも知られてないよな」
「うん」
 知られてしまえば、怒られるなんてものじゃないほど怒られるはずだった。だから村の大人たちには自分たちがこっそり来ているのは内緒だ。
「さて、まずは一枚、お嬢ちゃんに」
 大人が金貨を見せてからファービアに差し出す。
 ファービアはパァッと顔を輝かせてそれに手を伸ばす。
 直後、大人はファービアを捕まえた。
「なにするんだ!」
 クラナンは思わずとびかかるが、ほかの大人に阻まれた。体が大きなその人に、クラナンはまったく歯が立たない。
「妹が大事なら言うことを聞け」
「ユニコーンが来たら、お前たちの出番だ。汚れのない乙女か、無垢な子どもにしか寄らないと言うからな」
 クラナンは顔を青ざめさせた。
 密猟だ、とようやく彼は気がついた。
 だが、妹を人質に取られた彼には、なにもなすすべがなかった。

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 日が傾きかけた頃、クラナンの母親が再度神殿を訪れたため、セリオンは首をかしげた。
「うちの子たち、こちらに来ていませんか」
 母の不安げな声に、セリオンは首を振る。
「いいえ、今日は一度もお会いしておりません」
「そんな」
 母親は顔を青くした。