「それで、襲ってきたやつはどんな見た目だった?」
「見たことのない男たちでした」
 そう言って彼は外見の説明をする。
「あのときの野盗かな?」
 セリオンが言うと、レナシェルは顔をしかめた。
「あんな雑魚に用はないんだがな」
 レナシェルでは野盗を捕まえてくれそうにないな、とセリオンは横目で彼女を見た。
「この村の警備は?」
 セリオンが聞くと、同席した村長が答える。
「野盗が出るようになってからは村人が交代で見張ってます。が、それくらいしか」
「警備隊は?」
「歩いて一週間の隣町にしかいません」
 セリオンは眉を寄せた。こんなド田舎では仕方ないのかもしれないが、やはり物騒だ。
「伝書鳩を飛ばして警備隊に来てくれるように頼みましたが、馬を使っても5日ほどかかります」
「こんな田舎で野盗とは」
 セリオンが唸る。
「不況で野盗が増えてるんだ。あいつらにも縄張りがあるから、追い出されてこっちまで来たんだろう」
 レナシェルが言う。
「迷惑な話だ」
 村長がため息をつく。
 悪いもの同士で潰しあってくれたら楽なのに。セリオンは村長に問う。
「住処がわかったりしますか?」
「東の街道からそれたところの洞窟を根城にしてるらしいです。そんな会話をしてました」
 ケガをした男性が答えた。
「そうですか」
 セリオンはそれを聞いて考え込む。
「剣士様、あなたが野盗を捕まえてくださいませんか」
 村長が言い、レナシェルは目を向けた。
「私は賞金稼ぎでね。報酬次第だ。野盗一人につき金貨一枚でどうだ」
「この村にそんなお金は……」
 村長は絶望したように言う。金貨一枚は大人が二ヶ月かかって稼ぐほどの額だ。