仲良く帰った四人を神殿で出迎えたのは、慌てふためいた村長だった。
「神官様、大変です!」
「どうなさいましたか」
「村の者が襲われて、大怪我を負ったんです!」
村長の言葉にセリオンは顔をしかめ、レナシェルは目を輝かせた。
「そいつらは今どこにいる!?」
「ねぐらに帰ったようで、もう村にはいません」
「どんなやつらだ? 特徴は?」
「私にはわかりかねます」
「なんだ」
つまんない、と言いたげなレナシェルを、セリオンは肘でつつく。
「仕事柄、怪我の手当は慣れてるのでは? ちょっと見てやってくれませんか?」
セリオンが言うと、レナシェルは眉を上げた。
「いくらで?」
「あなたの幸福を祈って差し上げます」
「そんなもんでやるかよ」
「では、神殿を、出ていってください」
「はあ?」
「襲ったやつがあなたの探している人かどうか、襲われた本人に聞いたほうが早いのでは? その情報が報酬ということでどうでしょう」
セリオンが言う。
レナシェルは不機嫌そうにセリオンを見て、村長を見る.。
村長の期待と不安が混じった視線に、レナシェルはため息をついた。
「どうせ大した情報はないだろ。私は医者じゃないんだ。今回だけだぞ」
彼女の言葉に、村長は深く頭を下げた。
レナシェルは村人の傷を見て、止血をし直した。
「まあこれくらいならなんとか大丈夫だろ。大きな血管も切れてない。傷が塞がるまでは大人しくしたほうがいいけどな」
刀で切られた傷のようだったが、そこまでの深手ではなかった。
「ありがとうございます」
男は礼をのべ、男の妻は涙ぐんで頭を下げた。
「傷が早く治るように祈ります」
セリオンは傷に手を当て、祈りを捧げた。
祈りに傷を早く治す力などないが、気持ちが変われば傷の治りが早い。