「ユニコーン!? 本当に!?」
 聞いていたファービアがきらきらと目を輝かせる。
「本当ですよ。ラッキーでしたね、絶滅寸前で、見ることはほとんどありません」
「神獣、本当にいるんだね」
 クラナンは目を丸くしていた。
「不思議な力とかあるのか?」
レナシェルが聞く。
「ないですよ。ですが、角は万能薬になると信じられていて、それで乱獲された過去があります。今でもその迷信を信じている人はいますし、権力を誇示するために剥製を欲しがる人もいます」
「それは興味深い。高く売れるんだろ?」
「密猟は犯罪ですよ」
「その様子ではかなりの高値だな」
 レナシェルはニッと笑う。
「お金のことばかりですね」
「金が嫌いなやつはいないだろ」
「そうですけど。神殿を修理するにもお金は必要ですしね」
「神官様、お金がいるの?」
 クラナンの問いに、セリオンは笑顔を見せた。
「気になさらないでください。大人の話ですから」
「ユニコーン、肉はうまいのか?」
 レナシェルがたずねる。
「記録によると、筋が多くてまずかったそうです」
「まずいならいらんな」
 レナシェルは肩をすくめた。
「みなさん、ここにユニコーンがいるのは内緒にしてください。密猟が怖いですし、ユニコーンはみなさんが思うより凶暴なんです」
「わかった!」
「わかったわ」
 クラナンとファービアは目をきらきらさせて答える。
「あなたも、いいですね」
「わかったよ」
 めんどくさそうに、レナシェルは答えた。