「そんな……あの人はレースの参加者じゃなかったのか」

 運営のテントがざわついていた。
 ブンブン丸を持ち出したのは、アイツだった。

「ええ。金髪で背の高い人で。自分は尾萩杏子の彼氏だからと」

 ──芦沢だ。

 一瞬で血の気が引いていく。
 ブンブン丸が……

「え……愛人くん。これ……」
「……あ…………」

 杏子さんが僕にスマホの画面を見せる。
 そこに映し出されていたのは……