「へぁ!?冷たっ!」
声に、というか、声かけの内容に疑問を持ってしまい、変な声で返事をした。
僕の首に当てられたのは、随分冷やされていたミネラルウォーターのペットボトルだった。
「朔くん、来るの早いね」
白いシャツに黄色のロングスカートがよく映えていた。
学校の制服が見慣れすぎて、久々に見た私服にドギマギしてしまう。
「私のノート、見つけてくれたんだね。ありがとう」
先輩は僕の隣に腰かける。いつもと雰囲気が違うのは制服じゃないからなのかな。ずっと大人っぽく見えた。
「そ、そうなんです!たまたま「音楽室の入口から数えて5列目、前から数えて4列目の机の中にあった?」
「そうです!…あれ?」
先輩は僕の手からノートを回収すると、パラパラとページをめくった。開いたページは僕の名前が書いてあった。
開いたノートを再び僕に持たせる。
そして先輩が僕にもたれかかるくらい肩を寄せながら、僕の名前を指先でなぞった。何故かあの時の右腕の傷もウズウズした。
「ね、私の好きな人の名前。書いてあったでしょ?」
先輩、なんでノート忘れた場所を完璧に言えるんだろう。
そんな疑問がぐるぐる回る。暑さのせいなんだろうか。
先輩がくれた水を飲み干す。冷たい。あまりに冷たくてむせそうになる。
「朔くんのことだから絶対ノート回収すると思ってたの」
先輩はいたずらが成功したみたいにあどけない笑顔を見せた。今まで見たことない笑顔で、僕の中の天使とは違う人みたいだった。
「朔くんは、好きな人いるの?」
「い、いることにはいますけど」
「誰?その返事によったら、この後の時間が初デートになるんだけどなぁ」
先輩の目は僕を射抜く。
今までの目つきとは違う。確実に僕を仕留める。血抜きまでしてしっかり食べてやろうという気概まで感じた。
「せ、先輩が好きです」
僕が好きな人は、僕が思うほどか弱くなくて、純粋でもなかったようだ。
先輩は目を三日月みたいに細めた。
ほんのりピンクに染まる唇から、
「よくできました」
と砂糖以上に甘い言葉が発せられる。
この悪魔は、先輩なんだろうか。
声に、というか、声かけの内容に疑問を持ってしまい、変な声で返事をした。
僕の首に当てられたのは、随分冷やされていたミネラルウォーターのペットボトルだった。
「朔くん、来るの早いね」
白いシャツに黄色のロングスカートがよく映えていた。
学校の制服が見慣れすぎて、久々に見た私服にドギマギしてしまう。
「私のノート、見つけてくれたんだね。ありがとう」
先輩は僕の隣に腰かける。いつもと雰囲気が違うのは制服じゃないからなのかな。ずっと大人っぽく見えた。
「そ、そうなんです!たまたま「音楽室の入口から数えて5列目、前から数えて4列目の机の中にあった?」
「そうです!…あれ?」
先輩は僕の手からノートを回収すると、パラパラとページをめくった。開いたページは僕の名前が書いてあった。
開いたノートを再び僕に持たせる。
そして先輩が僕にもたれかかるくらい肩を寄せながら、僕の名前を指先でなぞった。何故かあの時の右腕の傷もウズウズした。
「ね、私の好きな人の名前。書いてあったでしょ?」
先輩、なんでノート忘れた場所を完璧に言えるんだろう。
そんな疑問がぐるぐる回る。暑さのせいなんだろうか。
先輩がくれた水を飲み干す。冷たい。あまりに冷たくてむせそうになる。
「朔くんのことだから絶対ノート回収すると思ってたの」
先輩はいたずらが成功したみたいにあどけない笑顔を見せた。今まで見たことない笑顔で、僕の中の天使とは違う人みたいだった。
「朔くんは、好きな人いるの?」
「い、いることにはいますけど」
「誰?その返事によったら、この後の時間が初デートになるんだけどなぁ」
先輩の目は僕を射抜く。
今までの目つきとは違う。確実に僕を仕留める。血抜きまでしてしっかり食べてやろうという気概まで感じた。
「せ、先輩が好きです」
僕が好きな人は、僕が思うほどか弱くなくて、純粋でもなかったようだ。
先輩は目を三日月みたいに細めた。
ほんのりピンクに染まる唇から、
「よくできました」
と砂糖以上に甘い言葉が発せられる。
この悪魔は、先輩なんだろうか。