わたしが以前、子どもにこだわっていた理由は、誰にも話したことはないし、今後も話すことはないと思う。
 というのも、今ではその考えがあまりにも子供じみていて浅はかで間違っていたと理解しているから。

 そして、あのとき失った子の命のことを、考えない日はないから。

 自分にとって失われた人がまた一人増えてしまって、それはもしかしたら本来なら失われなくてもよかったかもしれない命で、そのような運命を辿らせてしまったのは自分のせいかもしれないことが、わたしの胸の中にずっと突き刺さっている。

 今はただ、わたしのそばで笑って一緒に生きてくれている、大切な朋子と悠人くんを、この手で守り続けたい。
 二人に嫉妬はするけれど、それぞれと一緒に同じ時間を過ごせることの幸せを噛みしめている。

 わたしは、ぬるくなったコーヒーカップの中身を一気に飲み干し、同じタイミングでほんの少し薄まったアイスコーヒーを飲み干して渋い顔をしている悠人くんと目が合い、思わず笑みがこぼれた。