「わ、私、あなたが好きです! ミレイアさんっ!」
い、いきなりの告白! しかもこんなかわいい女の子から? 中等部の子だろうか。
私は驚きすぎて、ひっくり返りそうになった。
「きゅ、急に何を?」
私は、その12歳か13歳くらいの女の子を見た。ツインテールの髪型がかわいい。
「スコラ・シャルロ魔法競技会──ジェニファーさんとの戦いを、生中継で観ました!」
その子は言った。
「素晴らしい試合でした。ミレイアさんのファンになっちゃったんです。握手してくださいっ!」
「え? あ」
な、なんだ。そういうことね……。
私は握手に応じた。
とにかく、私たちは広場から、訓練場に戻ることにした。
◇ ◇ ◇
私たちは訓練場に戻った。ゾーヤはまた温泉に入りにいき、ランベールは図書室を見て回るそうだ。
「良かったじゃねーか。告白されて」
ナギトはニヤニヤしながらそう言った。私はナギトをジロリとにらみつけたが、女の子は言った。
「あ、申し遅れました。私はジョゼット・マレーカと申します」
「ジョゼットは、どこから来たの?」
「私は、エンジェミアからきました」
「えっ!」
私は声を上げたが、ナギトも驚いたようだ。ナギトがジョゼットに聞いた。
「ほ、本当にエンジェミアから来たのか? じゃあ、スコラ・エンジェミアの生徒か?」
「はい、その通りです」
ジョゼットはニコリと笑って言った。
エンジェミア──聖女の中の聖女──聖女王の宮廷があり、世界の中心の国である。
その国には、スコラ・エンジェミアという学校がある。
世界最高の勇者・聖女養成学校といわれ、聖女王を100年のうち、4名も輩出している。単なる聖女ではない。聖女の中の聖女、聖女王をいく人も育てあげているのだ。
「ま、まさか、スコラ・エンジェミアの子が、ここに来るなんてなあ」
もちろん、スコラ・エンジェミアは、小学部、中等部、高等部、大学まである。このかわいい少女が、スコラ・エンジェミアの生徒だといっても、なにもおかしくない。
ナギトは興味深そうに、ジョゼットに聞いた。
「ジョゼットは何歳だ? 中等部?」
「私は、高等部所属です。今は13歳ですけど」
「ええっ? どういうことだ? 高等部だと、オレと同じじゃないか。高等部は普通、15歳からだろ」
「飛び級をして、13歳で高等部に入ったんです」
「え~っ? そ、そうなんだ」
私はうなった。きっと、才能のある子なんだろう。
その時……!
「ミレイアさん」
えええ? ジョゼットはかわいい口を、そっと、私の耳に近づけた。
(なななな、なに、急に?)
「『フレデリカ』に気を付けて」
「えっ?」
「では、私は練習試合があるので、これで」
ジョゼットは中年の女性がいるほうへ行ってしまった。中年女性は、スコラ・エンジェミアの先生だろう。
ナギトは感心しながら言った。
「びっくりしたな。あんな超有名学校も、修学旅行にきてるなんてさ」
「ええ……そうね」
「あ、オレ、温泉に入ってくるわ。……お前も一緒にどうだ?」
「どつくわよ」
私がナギトをにらんでそう言うと、ナギトはピューッと逃げてしまった。
それにしても……ジョゼットと握手したとき、私は気付いた。何となく彼女の「恐れ」を感じたのだ。彼女は何に恐れているのだろう?
彼女の言う、フレデリカって……私の旧友のフレデリカ? いや、考えすぎだ。
「──ジョゼットはかわいいだろう?」
ハッ
私はぎょっとした。いきなり私の左横に、気配が「出現」した?
「驚かせちゃったかな?」
男子──いや、髪の毛の短い少女が立っている。年齢は私と同じくらいか。目が鋭い。彼女は私に挨拶した。
「私はフレデリカ。フレデリカ・レイリーン。スコラ・エンジェミア所属だ」
「……フレデリカ」
私はつぶやくように言った。この髪型、この声、この雰囲気。目の鋭さ。
見覚えがある。
そして決定的なのは名前だ。
フレデリカ・レイリーン。この名前は……旧友の名前そのものだ。
私は静かに挨拶した。
「久しぶりね」
旧友のフレデリカが、私の左隣に立っている。10歳の頃まで、いつも公園で、仲良く遊んでいたフレデリカが、すぐ横にいる。
砂場でお城をつくったり、滑り台で一緒に遊んだりした。
私は言った。
「私はミレイア・ミレスタよ。覚えてる?」
「ああ、分かってるよ。一緒に公園で遊んだな」
フレデリカは笑った。そう、間違いなく旧友のフレデリカだった。でも、背が伸びているし、顔もあの頃より、大人になっている。──当たり前だけど。
しかし、なぜだろう? この違和感は……。
フレデリカは言った。
「驚いた。ミレイアがスコラ・シャルロにいると聞いたときは」
「フレデリカ、あなたこそ。エクセンからシャルロに引っ越したはずじゃないの? まさか、エンジェミアにいるなんて」
「ああ。シャルロから引っ越した。シャルロの学校は、私には合わなかった」
フレデリカは言ったが、私は首を傾げた。
「どういうこと?」
「その話をする前に、見てみろ。我がスコラ・エンジェミアの強さを。さっきのジョゼットが、ほら──練習試合をするぞ。私のかわいい後輩だ」
私はジョゼットを見て、驚いた。
魔法訓練の舞台上にジョゼットが立っていたが、彼女の目の前には──。
(あ、あの女子生徒は!)
1メートル80センチはある、体の大きい女子生徒だ。まるで男子のようだった。
あの子は、新聞で見たことがある。超大国アダマーグの聖女候補だ! 最近のスコラ・マダマーグ魔法競技会でも、強力な魔法攻撃で、優勝したらしい。
「そう、スコラ・アダマーグのラーラ・ジェリフィンだ。世界学生魔法競技会の出場者でもある」
フレデリカは言ったが、私は声を荒げた。
「この練習試合はダメよ! ジョゼットはまだ13歳でしょ! ラーラ・ジェリフィンは力強い魔法力の使い手らしいわ」
「そうだ。ラーラのこと、よく知っているじゃないか」
ジョゼットの身長は約140センチくらい。しかし、ラーラは180センチ以上ある。体格はかなり魔法力に関係があるのだ。精神力も体力にかかわりがあるからだ。
「そもそも、高等部の生徒に、13歳の子がかなうはずがないじゃない!」
私はフレデリカに訴えた。
「怪我じゃすまないわよ。危険だから、やめさせて!」
「フフッ。──ジョゼットが、どうして13歳で高等部にいるのか──?」
フレデリカはクスクス笑いながら言った。
「この練習試合を観れば分かることだ。私のかわいい後輩、ジョゼットの恐ろしさがね」
私は息をのんだ。
ジョゼットとラーラの練習試合が始まろうとしている!
い、いきなりの告白! しかもこんなかわいい女の子から? 中等部の子だろうか。
私は驚きすぎて、ひっくり返りそうになった。
「きゅ、急に何を?」
私は、その12歳か13歳くらいの女の子を見た。ツインテールの髪型がかわいい。
「スコラ・シャルロ魔法競技会──ジェニファーさんとの戦いを、生中継で観ました!」
その子は言った。
「素晴らしい試合でした。ミレイアさんのファンになっちゃったんです。握手してくださいっ!」
「え? あ」
な、なんだ。そういうことね……。
私は握手に応じた。
とにかく、私たちは広場から、訓練場に戻ることにした。
◇ ◇ ◇
私たちは訓練場に戻った。ゾーヤはまた温泉に入りにいき、ランベールは図書室を見て回るそうだ。
「良かったじゃねーか。告白されて」
ナギトはニヤニヤしながらそう言った。私はナギトをジロリとにらみつけたが、女の子は言った。
「あ、申し遅れました。私はジョゼット・マレーカと申します」
「ジョゼットは、どこから来たの?」
「私は、エンジェミアからきました」
「えっ!」
私は声を上げたが、ナギトも驚いたようだ。ナギトがジョゼットに聞いた。
「ほ、本当にエンジェミアから来たのか? じゃあ、スコラ・エンジェミアの生徒か?」
「はい、その通りです」
ジョゼットはニコリと笑って言った。
エンジェミア──聖女の中の聖女──聖女王の宮廷があり、世界の中心の国である。
その国には、スコラ・エンジェミアという学校がある。
世界最高の勇者・聖女養成学校といわれ、聖女王を100年のうち、4名も輩出している。単なる聖女ではない。聖女の中の聖女、聖女王をいく人も育てあげているのだ。
「ま、まさか、スコラ・エンジェミアの子が、ここに来るなんてなあ」
もちろん、スコラ・エンジェミアは、小学部、中等部、高等部、大学まである。このかわいい少女が、スコラ・エンジェミアの生徒だといっても、なにもおかしくない。
ナギトは興味深そうに、ジョゼットに聞いた。
「ジョゼットは何歳だ? 中等部?」
「私は、高等部所属です。今は13歳ですけど」
「ええっ? どういうことだ? 高等部だと、オレと同じじゃないか。高等部は普通、15歳からだろ」
「飛び級をして、13歳で高等部に入ったんです」
「え~っ? そ、そうなんだ」
私はうなった。きっと、才能のある子なんだろう。
その時……!
「ミレイアさん」
えええ? ジョゼットはかわいい口を、そっと、私の耳に近づけた。
(なななな、なに、急に?)
「『フレデリカ』に気を付けて」
「えっ?」
「では、私は練習試合があるので、これで」
ジョゼットは中年の女性がいるほうへ行ってしまった。中年女性は、スコラ・エンジェミアの先生だろう。
ナギトは感心しながら言った。
「びっくりしたな。あんな超有名学校も、修学旅行にきてるなんてさ」
「ええ……そうね」
「あ、オレ、温泉に入ってくるわ。……お前も一緒にどうだ?」
「どつくわよ」
私がナギトをにらんでそう言うと、ナギトはピューッと逃げてしまった。
それにしても……ジョゼットと握手したとき、私は気付いた。何となく彼女の「恐れ」を感じたのだ。彼女は何に恐れているのだろう?
彼女の言う、フレデリカって……私の旧友のフレデリカ? いや、考えすぎだ。
「──ジョゼットはかわいいだろう?」
ハッ
私はぎょっとした。いきなり私の左横に、気配が「出現」した?
「驚かせちゃったかな?」
男子──いや、髪の毛の短い少女が立っている。年齢は私と同じくらいか。目が鋭い。彼女は私に挨拶した。
「私はフレデリカ。フレデリカ・レイリーン。スコラ・エンジェミア所属だ」
「……フレデリカ」
私はつぶやくように言った。この髪型、この声、この雰囲気。目の鋭さ。
見覚えがある。
そして決定的なのは名前だ。
フレデリカ・レイリーン。この名前は……旧友の名前そのものだ。
私は静かに挨拶した。
「久しぶりね」
旧友のフレデリカが、私の左隣に立っている。10歳の頃まで、いつも公園で、仲良く遊んでいたフレデリカが、すぐ横にいる。
砂場でお城をつくったり、滑り台で一緒に遊んだりした。
私は言った。
「私はミレイア・ミレスタよ。覚えてる?」
「ああ、分かってるよ。一緒に公園で遊んだな」
フレデリカは笑った。そう、間違いなく旧友のフレデリカだった。でも、背が伸びているし、顔もあの頃より、大人になっている。──当たり前だけど。
しかし、なぜだろう? この違和感は……。
フレデリカは言った。
「驚いた。ミレイアがスコラ・シャルロにいると聞いたときは」
「フレデリカ、あなたこそ。エクセンからシャルロに引っ越したはずじゃないの? まさか、エンジェミアにいるなんて」
「ああ。シャルロから引っ越した。シャルロの学校は、私には合わなかった」
フレデリカは言ったが、私は首を傾げた。
「どういうこと?」
「その話をする前に、見てみろ。我がスコラ・エンジェミアの強さを。さっきのジョゼットが、ほら──練習試合をするぞ。私のかわいい後輩だ」
私はジョゼットを見て、驚いた。
魔法訓練の舞台上にジョゼットが立っていたが、彼女の目の前には──。
(あ、あの女子生徒は!)
1メートル80センチはある、体の大きい女子生徒だ。まるで男子のようだった。
あの子は、新聞で見たことがある。超大国アダマーグの聖女候補だ! 最近のスコラ・マダマーグ魔法競技会でも、強力な魔法攻撃で、優勝したらしい。
「そう、スコラ・アダマーグのラーラ・ジェリフィンだ。世界学生魔法競技会の出場者でもある」
フレデリカは言ったが、私は声を荒げた。
「この練習試合はダメよ! ジョゼットはまだ13歳でしょ! ラーラ・ジェリフィンは力強い魔法力の使い手らしいわ」
「そうだ。ラーラのこと、よく知っているじゃないか」
ジョゼットの身長は約140センチくらい。しかし、ラーラは180センチ以上ある。体格はかなり魔法力に関係があるのだ。精神力も体力にかかわりがあるからだ。
「そもそも、高等部の生徒に、13歳の子がかなうはずがないじゃない!」
私はフレデリカに訴えた。
「怪我じゃすまないわよ。危険だから、やめさせて!」
「フフッ。──ジョゼットが、どうして13歳で高等部にいるのか──?」
フレデリカはクスクス笑いながら言った。
「この練習試合を観れば分かることだ。私のかわいい後輩、ジョゼットの恐ろしさがね」
私は息をのんだ。
ジョゼットとラーラの練習試合が始まろうとしている!