私は元聖女のミレイア。
ジェニファーの闇魔法「ダークミロワール」によって、闇の空間に取り込まれた。
その空間の中で、前世を見ることになってしまった。
前世の私の名前は、マイアだった。
私は魔女王フリーダと対決し、聖剣グラーツレオンを手に取る──。
その前に! 牽制魔法の一打だ!
「アストラペ・ライトニア!」
私は素早く雷の魔法を、フリーダに放った。
バーン!
フリーダは油断したのか、魔法を全身に浴びた。
「うっ、ぐううぅ、こざかしい!」
フリーダはよろめきながらも、吼えた。
「やはり大聖女マイアよ、お前との一騎打ちになると分かっていたぞ!」
私はスキを見つけた!
「たあああっ!」
私は高速移動の術で、彼女の目の前に移動。
「なにいっ?」
魔女王は驚きの声を上げた。私は、聖剣グラーツレオンを、彼女の首に突きつける。
(あっ……!)
私は……マイアの私は気付いてしまった。
フリーダはジェニファーだ。ジェニファーの前世は、魔女王フリーダだったのだ! 顔も何となく似ている。
(まさか! この光景は、見たことがある!)
直感で分かるのだ。魔女王フリーダは、ジェニファーと魂が一緒であると。
私とジェニファーは、200年前から因縁があった……!
(ジェニファーが私を憎むわけは、このせいだったのか。200年前から、私たちは敵同士だったのだ!)
フリーダは、玉座の後ろにヨロヨロと下がった。「魔女王の間」の後ろは、ベランダになっている。今の激しい戦闘によって、手すりが破壊されていた。
ここは城の2階だが、ベランダの外は、崖のようになっていた。城がちょうど谷の前にあるからだ。
(この魔女王フリーダが、我が祖国、ドールカイン王国の人間を殺せ、と魔物たちに命じたのだ。ドールカインの人口は、半分になってしまった)
マイアの心の声が聞こえてくる。
手すりのないベランダの下の谷は、瘴気がうごめいている。まるで魔界だ!
突き落とせば、フリーダは死ぬだろう。魔女王フリーダは、満身創痍だ。
「言い残すことはない? 魔女王よ」
私は聞いた。
「ふん、何もないね。なぜなら……マイアよ、お前のほうが死ぬからだ!」
フリーダは私を蹴り飛ばした。私は3メートル吹っ飛ばされたが、すぐに顔を上げた。
フリーダは杖を掲げている。あの杖は、伝説の魔の杖「ドラゴーネの杖」か? ゴルバルの杖の制作者の先祖が、作り上げた伝説の杖だ。
「ペッカト・オリジナーレ!」
フリーダの闇魔法! 闇の光線が約10本、宙から降り注ぐ。その約10本の光線のうち、3本が、私に向かってくる!
カンッ カンッ カンッ
私は手に作り上げた魔法防御で、それをはね返した。
(あれは!)
しかし私は空を見て、思わず声を上げた。
上空には、あと30……いや、50本もの光線が、うごめいていたのだ。
まるで、光るイソギンチャクだ。
(危ない!)
光線が、まるで槍のように私に向かって降り注いだ!
ズドドドドドッ
「死んで地獄へ行け! 大聖女!」
フリーダが高笑いしながら声を上げる。
「あはははは、あはは! 死んだ?」
しかし──私は、結界で「ペッカト・オリジナーレ」を防いでいた。私は生きていた。
「な、なんだと!」
フリーダは驚きの声を上げる。無傷の私が、立っているのを見たからだ。
私は結界の防御壁で、闇の光線をはねかえしたのだ。
ふふっ、前世から、結界を張るのが得意だったとはね。
「さあ、聖剣グラーツレオンの波動を受けよ!」
私は、聖剣グラーツレオンを振りかざした。
光の波動がフリーダに向かっていく。
「うっ、うわあああああああっ!」
フリーダが声を上げる。
光が満ちた。
私は──魔女王フリーダに勝った。前世の夢の中で……。
◇ ◇ ◇
「ねえ……ねえったら! 審判たちさぁ、そろそろ時間じゃないのぉ? 6分くらい経ってない? いつまで舞台上で座ってなきゃいけないのよ」
──どこからか、ジェニファーの不満気な声が聞こえる。
「ミレイアが7分、『ダークミロワール』から出られなかった場合、私の勝ちのはずでしょ」
『は、はい! 制限時間の7分まで、あと30秒です。では、カウントします! 30……29……28……』
審判長が、魔導拡声器で、カウントを始めている。
ええっと……確か……私はジェニファーの闇魔法「ダークミロワール」の中に閉じこめられて……。
そうか! 今は魔法競技会の決勝の最中だった!
『14……13……12……11……』
カウントが進む。
周囲は鏡の部屋。私は闇魔法ダークミロワールが作り上げた、空間の内部にいるのだ。
「楽勝だったわね!」
ジェニファーの声が聞こえた。
(出なければ!)
私は完全に目が覚めた。すると──。
ガッシャアアアアアン
ガラスが割れるような音がした。
さっきまで目の前は、半透明の壁があった。しかし今は、外のスタジアムの風景が、あらわになっている! 壁が無くなったのだ。周囲の鏡も、破壊されていた。
「何? 何が起こったの?」
ジェニファーの声が聞こえた。
そうか……。私は前世を体験し、魔女王フリーダに勝利した。そして私の心の光が、闇の空間──すなわちジェニファーの「ダークミロワール」を打ち破ったのだ。
(いまだ!)
私はダークミロワールの空間から飛び出し──。
スタッ
舞台に降り立った。
ドオオオオオッ
「ミレイアが戻ってきたああ!」
「すげえ」
「ジェニファーの闇魔法を打ち破ったぞ!」
観客が声を上げる。
私は6分56秒で、……あと4秒で負ける直前に、ダークミロワール内部から戻ったのだ。
「な、何てこと?」
ジェニファーは驚きの声を上げた。
「わ、私のダークミロワールを破る人間が存在するなんて……」
「勝たせていただくわ」
私はジェニファーに言った。
「元魔女王のジェニファーさん」
「は?」
ジェニファーは首を傾げながら、ゴルバルの杖を構えた。
試合は終わりに近づいてきている。
ジェニファーの闇魔法「ダークミロワール」によって、闇の空間に取り込まれた。
その空間の中で、前世を見ることになってしまった。
前世の私の名前は、マイアだった。
私は魔女王フリーダと対決し、聖剣グラーツレオンを手に取る──。
その前に! 牽制魔法の一打だ!
「アストラペ・ライトニア!」
私は素早く雷の魔法を、フリーダに放った。
バーン!
フリーダは油断したのか、魔法を全身に浴びた。
「うっ、ぐううぅ、こざかしい!」
フリーダはよろめきながらも、吼えた。
「やはり大聖女マイアよ、お前との一騎打ちになると分かっていたぞ!」
私はスキを見つけた!
「たあああっ!」
私は高速移動の術で、彼女の目の前に移動。
「なにいっ?」
魔女王は驚きの声を上げた。私は、聖剣グラーツレオンを、彼女の首に突きつける。
(あっ……!)
私は……マイアの私は気付いてしまった。
フリーダはジェニファーだ。ジェニファーの前世は、魔女王フリーダだったのだ! 顔も何となく似ている。
(まさか! この光景は、見たことがある!)
直感で分かるのだ。魔女王フリーダは、ジェニファーと魂が一緒であると。
私とジェニファーは、200年前から因縁があった……!
(ジェニファーが私を憎むわけは、このせいだったのか。200年前から、私たちは敵同士だったのだ!)
フリーダは、玉座の後ろにヨロヨロと下がった。「魔女王の間」の後ろは、ベランダになっている。今の激しい戦闘によって、手すりが破壊されていた。
ここは城の2階だが、ベランダの外は、崖のようになっていた。城がちょうど谷の前にあるからだ。
(この魔女王フリーダが、我が祖国、ドールカイン王国の人間を殺せ、と魔物たちに命じたのだ。ドールカインの人口は、半分になってしまった)
マイアの心の声が聞こえてくる。
手すりのないベランダの下の谷は、瘴気がうごめいている。まるで魔界だ!
突き落とせば、フリーダは死ぬだろう。魔女王フリーダは、満身創痍だ。
「言い残すことはない? 魔女王よ」
私は聞いた。
「ふん、何もないね。なぜなら……マイアよ、お前のほうが死ぬからだ!」
フリーダは私を蹴り飛ばした。私は3メートル吹っ飛ばされたが、すぐに顔を上げた。
フリーダは杖を掲げている。あの杖は、伝説の魔の杖「ドラゴーネの杖」か? ゴルバルの杖の制作者の先祖が、作り上げた伝説の杖だ。
「ペッカト・オリジナーレ!」
フリーダの闇魔法! 闇の光線が約10本、宙から降り注ぐ。その約10本の光線のうち、3本が、私に向かってくる!
カンッ カンッ カンッ
私は手に作り上げた魔法防御で、それをはね返した。
(あれは!)
しかし私は空を見て、思わず声を上げた。
上空には、あと30……いや、50本もの光線が、うごめいていたのだ。
まるで、光るイソギンチャクだ。
(危ない!)
光線が、まるで槍のように私に向かって降り注いだ!
ズドドドドドッ
「死んで地獄へ行け! 大聖女!」
フリーダが高笑いしながら声を上げる。
「あはははは、あはは! 死んだ?」
しかし──私は、結界で「ペッカト・オリジナーレ」を防いでいた。私は生きていた。
「な、なんだと!」
フリーダは驚きの声を上げる。無傷の私が、立っているのを見たからだ。
私は結界の防御壁で、闇の光線をはねかえしたのだ。
ふふっ、前世から、結界を張るのが得意だったとはね。
「さあ、聖剣グラーツレオンの波動を受けよ!」
私は、聖剣グラーツレオンを振りかざした。
光の波動がフリーダに向かっていく。
「うっ、うわあああああああっ!」
フリーダが声を上げる。
光が満ちた。
私は──魔女王フリーダに勝った。前世の夢の中で……。
◇ ◇ ◇
「ねえ……ねえったら! 審判たちさぁ、そろそろ時間じゃないのぉ? 6分くらい経ってない? いつまで舞台上で座ってなきゃいけないのよ」
──どこからか、ジェニファーの不満気な声が聞こえる。
「ミレイアが7分、『ダークミロワール』から出られなかった場合、私の勝ちのはずでしょ」
『は、はい! 制限時間の7分まで、あと30秒です。では、カウントします! 30……29……28……』
審判長が、魔導拡声器で、カウントを始めている。
ええっと……確か……私はジェニファーの闇魔法「ダークミロワール」の中に閉じこめられて……。
そうか! 今は魔法競技会の決勝の最中だった!
『14……13……12……11……』
カウントが進む。
周囲は鏡の部屋。私は闇魔法ダークミロワールが作り上げた、空間の内部にいるのだ。
「楽勝だったわね!」
ジェニファーの声が聞こえた。
(出なければ!)
私は完全に目が覚めた。すると──。
ガッシャアアアアアン
ガラスが割れるような音がした。
さっきまで目の前は、半透明の壁があった。しかし今は、外のスタジアムの風景が、あらわになっている! 壁が無くなったのだ。周囲の鏡も、破壊されていた。
「何? 何が起こったの?」
ジェニファーの声が聞こえた。
そうか……。私は前世を体験し、魔女王フリーダに勝利した。そして私の心の光が、闇の空間──すなわちジェニファーの「ダークミロワール」を打ち破ったのだ。
(いまだ!)
私はダークミロワールの空間から飛び出し──。
スタッ
舞台に降り立った。
ドオオオオオッ
「ミレイアが戻ってきたああ!」
「すげえ」
「ジェニファーの闇魔法を打ち破ったぞ!」
観客が声を上げる。
私は6分56秒で、……あと4秒で負ける直前に、ダークミロワール内部から戻ったのだ。
「な、何てこと?」
ジェニファーは驚きの声を上げた。
「わ、私のダークミロワールを破る人間が存在するなんて……」
「勝たせていただくわ」
私はジェニファーに言った。
「元魔女王のジェニファーさん」
「は?」
ジェニファーは首を傾げながら、ゴルバルの杖を構えた。
試合は終わりに近づいてきている。