「どうしたー……唐突に?」
訊かれてしまったからには無視はできないが、堂々と答えるのは躊躇われる。
「唐突でもないよ。さっきママが言ってたこと」
「ああ……」
確かに先程のおばさんとの会話で僕ははっきりとは答えなかった。彼女の前ではやはり答えづらいし、彼女自身も聞きたくはないだろうと思ったからだ。
「え……そんな僕の好みなんて気になるの?」
彼女からしたら僕の胸に対する好みなんてどうでもいいものだろうと思うのだが。
「れ、蓮の好みって言うか……その、男の人ってやっぱり大きい方が良いのかなって思うけど、実際はどうなのかなって……」
そう早口で言って彼女はチラッとこちらに目を向ける。頬が少し赤いところを見るとやはり自分でも言っていて恥ずかしさは感じているらしい。
答えづらいことに変わりはないが、それでも世間一般の男性目線ということであれば多少はマシな気がした。
「好みなんて人それぞれだよ。大きいのが良いやつもいればその逆だっているだろうし」
あくまで世の一般的な男性の目線で答える。ズルイ答えな気もするが、嘘ではないし間違ってもいない。
彼女は少しの間俯き、再び顔を上げると
「じゃあ蓮は?」
今度は僕自身に問いかけてきた。
「いや……だからそれは」
「蓮は?」
心なしか声に少し強さがこもったような気がした。どこか有無を言わせない声色だ。
こちらを窺う横目は僕の目を捕らえて離してはくれず、目を逸らすこともできない。彼女の頬の赤みがほんの少しだけ増したような気がし、髪の間に見える耳も赤く染まっているように見えた。
そんな彼女の様子から僕は内心溜息をつき、そして観念した。どうせ黙秘なんて許されない。
「…………………大きいのが良い、です」
ボソッと呟く。
彼女に嘘はつきたくないので正直に答えた。
直後、正直に答えたことを後悔する。
やはりと言うか、思っていた通り……いや、思っていた以上にこれは…………恥ずかしい。好みとは尊重されるべきものだと思っているが、それを口にするのは僕にはなかなかしんどい。
顔がかあっと熱くなり、それとは対照的に頭と背中はサアァ……と冷たくなる。
一体僕は女の子相手に何を言っているのだろうか?
羞恥と後悔、自分の馬鹿さ加減に打ち震えている僕だったのだが、対する彼女は
「……ふーん」
そう一言興味なさそうに呟くと再び視線をゲーム画面へと戻しゲームを再開させる。そしてこの話題はここまでとでも言うように黙ってゲームに集中し始めた。
そちらが訊いてきた割にその反応はあまりにも淡白で素っ気なくはないだろうか……と思わなくもなかったが、真面目に取り合われたらそれはそれで耐え難いためむしろこの反応の薄さは有り難いものにも感じた。僕も彼女に合わせてもうそれ以上その話題に触れないことにした。
その後、彼女がいつまた話題を蒸し返してくるかとビクビクしていたが、そんなこともなく心配は杞憂となった。
ゲームの内容に集中しだしてそんな話題どうでもよくなったのかもしれない。
二人で物語の内容を語りながらゲームをしている間、彼女の機嫌はいつもより少しだけ良かった。
訊かれてしまったからには無視はできないが、堂々と答えるのは躊躇われる。
「唐突でもないよ。さっきママが言ってたこと」
「ああ……」
確かに先程のおばさんとの会話で僕ははっきりとは答えなかった。彼女の前ではやはり答えづらいし、彼女自身も聞きたくはないだろうと思ったからだ。
「え……そんな僕の好みなんて気になるの?」
彼女からしたら僕の胸に対する好みなんてどうでもいいものだろうと思うのだが。
「れ、蓮の好みって言うか……その、男の人ってやっぱり大きい方が良いのかなって思うけど、実際はどうなのかなって……」
そう早口で言って彼女はチラッとこちらに目を向ける。頬が少し赤いところを見るとやはり自分でも言っていて恥ずかしさは感じているらしい。
答えづらいことに変わりはないが、それでも世間一般の男性目線ということであれば多少はマシな気がした。
「好みなんて人それぞれだよ。大きいのが良いやつもいればその逆だっているだろうし」
あくまで世の一般的な男性の目線で答える。ズルイ答えな気もするが、嘘ではないし間違ってもいない。
彼女は少しの間俯き、再び顔を上げると
「じゃあ蓮は?」
今度は僕自身に問いかけてきた。
「いや……だからそれは」
「蓮は?」
心なしか声に少し強さがこもったような気がした。どこか有無を言わせない声色だ。
こちらを窺う横目は僕の目を捕らえて離してはくれず、目を逸らすこともできない。彼女の頬の赤みがほんの少しだけ増したような気がし、髪の間に見える耳も赤く染まっているように見えた。
そんな彼女の様子から僕は内心溜息をつき、そして観念した。どうせ黙秘なんて許されない。
「…………………大きいのが良い、です」
ボソッと呟く。
彼女に嘘はつきたくないので正直に答えた。
直後、正直に答えたことを後悔する。
やはりと言うか、思っていた通り……いや、思っていた以上にこれは…………恥ずかしい。好みとは尊重されるべきものだと思っているが、それを口にするのは僕にはなかなかしんどい。
顔がかあっと熱くなり、それとは対照的に頭と背中はサアァ……と冷たくなる。
一体僕は女の子相手に何を言っているのだろうか?
羞恥と後悔、自分の馬鹿さ加減に打ち震えている僕だったのだが、対する彼女は
「……ふーん」
そう一言興味なさそうに呟くと再び視線をゲーム画面へと戻しゲームを再開させる。そしてこの話題はここまでとでも言うように黙ってゲームに集中し始めた。
そちらが訊いてきた割にその反応はあまりにも淡白で素っ気なくはないだろうか……と思わなくもなかったが、真面目に取り合われたらそれはそれで耐え難いためむしろこの反応の薄さは有り難いものにも感じた。僕も彼女に合わせてもうそれ以上その話題に触れないことにした。
その後、彼女がいつまた話題を蒸し返してくるかとビクビクしていたが、そんなこともなく心配は杞憂となった。
ゲームの内容に集中しだしてそんな話題どうでもよくなったのかもしれない。
二人で物語の内容を語りながらゲームをしている間、彼女の機嫌はいつもより少しだけ良かった。