高機能携帯端末、通称ママホは従来の連絡しかできない携帯端末と違ってテレビの機能、映像通信、導力ネットにアクセスすることができる。

 導力ネットワークは屋外でできないものだったが魔功炉のエネルギーと中央官制室の処理端末によって屋外でも使えるようにしている。

 技術の進歩がすごい。

 情報手段として俺達全員に渡されることになった。

 本題に戻るが英雄動を行うためには衣装が必要。
 今の村人の格好でやっても民衆の支持は上がらない。
 その時その時で適した格好が必要だろう。
 これもママホを操作することで変身することができるらしい。
 テトラにママホの操作方法を教えてもらい、さっそくやってみた。

「変身!」

 三十路を過ぎた俺だがヒーローっぽいのにはちょっと憧れる。
 気持ち強めにやってみた。

「おおー!」

 女性陣から淡い声が上がる。
 全身鎧が俺の体にまとわりついた。

 全身鎧と評したがめちゃくちゃ軽いな。
 ただの金属ではないのか……。

「おっと兜もつけないとな」

 フルフェイスの兜もママホの操作で有無を選択できるようだ。視界が悪くなるかと思ったが、高度なシステムにより視界が非常に広がっている。
 兜の中のモニターを通じて外が見えるようになっているのか。
 おまけにデータが表示されてやがる。

「ママホには導力ネットにおけるの情報全てを入れてある。魔獣から、人、スキルの情報まで網羅されているよ」
「そいつはすごい。って……何かみんなげんなりしてるんだが」

 女性陣が面白くなさそうな顔をしていた。

「ロードの顔が見えない……」
「パパはやっぱり兜を取った方がいいです」
「うん。わたし達のやる気が落ちる」

「頬の傷でエリオスにもバレてしまったからな。七英雄に存在がバレないように顔は隠しておかないと」
「それは分かるけど……。ロードは素の方がいいと思う」

 マリヴェラはぷいっと機嫌が悪くなってしまった。
 まいったなぁ。
 顔は絶対に隠さないとダメだし、そこは諦めてもらうとしよう。

「他には機能がないのか?」

「えっと、独自の機能として敵対した時に想定戦闘力を分かりやすく表示するようにしてる」

「つまり……相手の危険度が表示されるってことか」

「うん、力を隠している人間も多い。そーいう敵に対する対策」

 テトラの言う通り戦闘における敗北に多いのが油断だ。
 大した敵ではないと思って侮っていると実は強者だったという例はよく聞かれる。
 俺もスキルは多いが戦闘経験が多いわけではない。油断だけはしたくない。

「特に危険度:極悪と表示されたら戦わずに逃げた方がいい。敵対したら命の危険に瀕する相手ということになるよ」

 なるほどな。不要な戦いを避けることは命に繋がるということだ。
 戦闘評価機能を使用して、マリヴェラを見てみた。

「チョロい」

「へ?」

 この表現はどうかと思う……。マリヴェラはまだ戦闘経験がほぼないから、戦闘的な脅威はほぼないのだろう。
 せっかくだし、次は子供達三人を見てみるか。
 モニターに表示されたものを読んでみる。

 アルヴァン:危険度:極悪

 テトラ:危険度:極悪

 フィロメーナ:危険度:極悪

「全員やべぇじゃねーーか!」