左手には血にまみれた邪神剣。右手で首を掴んで一人の兵士が体を痙攣させていた。
床に崩れた落ちた無数の兵士達。あまりにひどい有様だった。まるで地獄のような光景なのにフィロは笑う……。
「パパ! 言われた通り、誰も殺しませんでしたよ! 褒めてください!」
「あ、ああ」
5人の子供達の中で最も狂気性を持っているのがこのフィロメーナだ。
彼女はこの状況下においても何にも動じない。あるがままを与えた役目をこなしていく。
血に塗れるくらい戦った後に食うメシは美味いって言うくらいだ。
道徳の成長率が最低ランクゆえに人としての正しさが理解できない。
……やはり成人しても根本的な性格は変わらないのだな。
予めに絶対に人を殺すなと言っておいてよかった。
「思った以上に兵がいたな。これは計画の修正が必要か」
「練度は大したことないですね。まぁ半殺しに留めるのが大変でしたが」
「パパ、やっぱり非効率だ。この兵士達はこの王国から逃げ切れなかった弱い人間達だ。始末した所で何の問題もない」
「ダメだ。俺が許さん」
そしてこのアルヴァンも狂気を含んでいる。人の生死を使えるか、使えないかとしか見ていない。
他国の兵士などどうでもいい。心からそう思っている。
そしてこの惨劇の状況下で眉を1つしかめないとは……どうしてこんな子達に育ってしまったんだ。
まだ少し納得しきれないアルヴァンに魔法の言葉を授ける。
「マリヴェラに嫌われるぞ」
「そ、それはいやだ!」
「おまえくらいの知能なら人を殺さずとも作戦は遂行できるだろう。楽な過程にするために殺しをするな」
「分かったよ。そうまで言われちゃ僕もやぶさかじゃない」
フィロの頭を撫でてやる。
「優しいフィロを俺は好きだぞ」
「ひゃっ! パパが愛してくれるなら私はもっと我慢します! パパのためなんですから!」
ふぅ……これで5人中2人なんだからな……。
あと3人揃ったらもう俺だけでは制御できんかもしれん。
アルヴァンに指示し、密かにこの国に潜ませた医療班をこちらに呼ぶことにする。
フィロは敵の兵士を全員紛れも無くきっかり半殺しにしている。
本当に末恐ろしい子だ。
その時、気配がした。
「っ。誰かいるな」
向こうの小扉からこちらを見ている影があった。
すぐさま引っ込んでしまったが……気になる。
エリオスと対面する前に見ておきたい。
扉を開けた先は質素な小部屋となっていた。
「っ!?」
「子供達ですか……?」
「奴隷のようだね」
10才近くの子供達が4人……恐怖に震えこちらを見ていた。
さきほどのフィロの戦いを見ていたのかもしれない。
「君達はエリオス王に仕えているのかな?」
アルヴァンが柔和な笑みを浮かべゆっくりと近づく。
こういったときに演技の上手いアルヴァンは子供達から情報を引き出しやすい。
「お、おれ達はエリオス様の召使いで……」
「そのわりに随分傷だらけだね。大丈夫かい?」
子供達には顔に青痣があり、服を着ていない子の肌には打撃痕が無数についていた。
あきらかに殴られたような痕だった
「おれ達はエリオス様のおもちゃだから」
「どうやらエリオスには異常性癖があるようだ。少年への暴行を楽しむって所か。ってパパどうしたの!?」
「ぐぅ!」
痛い……痛い。
頬の古傷が焼けるように痛い。
「しかしみな一律で茶髪で……頬に傷を持っている。これはどういうことなでしょう」
子供達は俺と同じで焦げた茶色の短髪で俺と同じ箇所に傷の跡があった。
簡単な話だ。
目の前の子供達は皆、10歳の時の俺なんだよ。
エリオスは24年経った今も……俺を虐待して楽しんでいるということだ。
――うるせぇんだよ、ロードォ! ――
「ぐうううううう!」
「パパ!?」
あの野郎……こんな子供達まで傷つけやがって。
絶対に、絶対に許さない。
体から怨みの感情があふれ出す。ぐちゃぐちゃにしてやりたい衝動に駆られる。
「パパ……目が真っ赤になってますよ」
「大丈夫なのか?」
抑えろ……。今ここにいるのは愛すべき子供達だ。
もう俺はいい年の大人だ。抑え込まなければならない。
子供達の前で恥ずかしいマネをするわけにはいかない。
体の中でグツグツと吹き上がる力を押さえた。
「大丈夫だ……」
「今のパパ、ちょっと怖かったです……」
「今はいつものパパだ……。」
「……。行こう。エリオスを倒せばいいだけの話だ」
子供達にはこの場所にいるように指示をし、俺達3人は先へ進む。
大広間に戻った俺は兵士が被っていたフルフェイスの兜を手に取った。
「顔を隠すの?」
「ちょっと確認したいことがある。なぁ、フィロ、アルヴァン」
玉座の間の前へ行く。
「エリオスは俺が倒す。手を出すな、分かったな」
「パパが心配ですが……分かりました」
「パパの因縁だしね。ただ死ぬことは許されない。もしもの時は勝手に手を出すよ」
俺達は玉座の間へ乗り込んだ。
床に崩れた落ちた無数の兵士達。あまりにひどい有様だった。まるで地獄のような光景なのにフィロは笑う……。
「パパ! 言われた通り、誰も殺しませんでしたよ! 褒めてください!」
「あ、ああ」
5人の子供達の中で最も狂気性を持っているのがこのフィロメーナだ。
彼女はこの状況下においても何にも動じない。あるがままを与えた役目をこなしていく。
血に塗れるくらい戦った後に食うメシは美味いって言うくらいだ。
道徳の成長率が最低ランクゆえに人としての正しさが理解できない。
……やはり成人しても根本的な性格は変わらないのだな。
予めに絶対に人を殺すなと言っておいてよかった。
「思った以上に兵がいたな。これは計画の修正が必要か」
「練度は大したことないですね。まぁ半殺しに留めるのが大変でしたが」
「パパ、やっぱり非効率だ。この兵士達はこの王国から逃げ切れなかった弱い人間達だ。始末した所で何の問題もない」
「ダメだ。俺が許さん」
そしてこのアルヴァンも狂気を含んでいる。人の生死を使えるか、使えないかとしか見ていない。
他国の兵士などどうでもいい。心からそう思っている。
そしてこの惨劇の状況下で眉を1つしかめないとは……どうしてこんな子達に育ってしまったんだ。
まだ少し納得しきれないアルヴァンに魔法の言葉を授ける。
「マリヴェラに嫌われるぞ」
「そ、それはいやだ!」
「おまえくらいの知能なら人を殺さずとも作戦は遂行できるだろう。楽な過程にするために殺しをするな」
「分かったよ。そうまで言われちゃ僕もやぶさかじゃない」
フィロの頭を撫でてやる。
「優しいフィロを俺は好きだぞ」
「ひゃっ! パパが愛してくれるなら私はもっと我慢します! パパのためなんですから!」
ふぅ……これで5人中2人なんだからな……。
あと3人揃ったらもう俺だけでは制御できんかもしれん。
アルヴァンに指示し、密かにこの国に潜ませた医療班をこちらに呼ぶことにする。
フィロは敵の兵士を全員紛れも無くきっかり半殺しにしている。
本当に末恐ろしい子だ。
その時、気配がした。
「っ。誰かいるな」
向こうの小扉からこちらを見ている影があった。
すぐさま引っ込んでしまったが……気になる。
エリオスと対面する前に見ておきたい。
扉を開けた先は質素な小部屋となっていた。
「っ!?」
「子供達ですか……?」
「奴隷のようだね」
10才近くの子供達が4人……恐怖に震えこちらを見ていた。
さきほどのフィロの戦いを見ていたのかもしれない。
「君達はエリオス王に仕えているのかな?」
アルヴァンが柔和な笑みを浮かべゆっくりと近づく。
こういったときに演技の上手いアルヴァンは子供達から情報を引き出しやすい。
「お、おれ達はエリオス様の召使いで……」
「そのわりに随分傷だらけだね。大丈夫かい?」
子供達には顔に青痣があり、服を着ていない子の肌には打撃痕が無数についていた。
あきらかに殴られたような痕だった
「おれ達はエリオス様のおもちゃだから」
「どうやらエリオスには異常性癖があるようだ。少年への暴行を楽しむって所か。ってパパどうしたの!?」
「ぐぅ!」
痛い……痛い。
頬の古傷が焼けるように痛い。
「しかしみな一律で茶髪で……頬に傷を持っている。これはどういうことなでしょう」
子供達は俺と同じで焦げた茶色の短髪で俺と同じ箇所に傷の跡があった。
簡単な話だ。
目の前の子供達は皆、10歳の時の俺なんだよ。
エリオスは24年経った今も……俺を虐待して楽しんでいるということだ。
――うるせぇんだよ、ロードォ! ――
「ぐうううううう!」
「パパ!?」
あの野郎……こんな子供達まで傷つけやがって。
絶対に、絶対に許さない。
体から怨みの感情があふれ出す。ぐちゃぐちゃにしてやりたい衝動に駆られる。
「パパ……目が真っ赤になってますよ」
「大丈夫なのか?」
抑えろ……。今ここにいるのは愛すべき子供達だ。
もう俺はいい年の大人だ。抑え込まなければならない。
子供達の前で恥ずかしいマネをするわけにはいかない。
体の中でグツグツと吹き上がる力を押さえた。
「大丈夫だ……」
「今のパパ、ちょっと怖かったです……」
「今はいつものパパだ……。」
「……。行こう。エリオスを倒せばいいだけの話だ」
子供達にはこの場所にいるように指示をし、俺達3人は先へ進む。
大広間に戻った俺は兵士が被っていたフルフェイスの兜を手に取った。
「顔を隠すの?」
「ちょっと確認したいことがある。なぁ、フィロ、アルヴァン」
玉座の間の前へ行く。
「エリオスは俺が倒す。手を出すな、分かったな」
「パパが心配ですが……分かりました」
「パパの因縁だしね。ただ死ぬことは許されない。もしもの時は勝手に手を出すよ」
俺達は玉座の間へ乗り込んだ。