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『音楽に恋して』 

第5回:『WINTER STORIES:BRIAN CULBERTSON』(インパートメント:AGIP-3654)

猛暑、酷暑、残暑、今年は例年になく厳しい暑さが続く年になりそうです。

そこで、避暑地よりもはるかに涼しい風を運んでくるピアノ・サウンドをお届けします。

ブライアン・カルバートソンの『ウインター・ストーリーズ』です。

彼はトロンボーン奏者兼キーボード(各種鍵盤楽器)奏者なのですが、今回はほぼ全面的にピアノ演奏に終始しています。

1973年にアメリカのイリノイ州で生まれた彼は、8歳でピアノを初めて、12歳までにトロンボーンやドラムも演奏を始めました。
そして、アース・ウィンド&ファイアーなどに影響を受けながら作曲にも取り組んで、1994年にデビューを果たします。

これまでに発表したアルバムは数多く、ポップな曲調と確かな技術に裏打ちされた演奏によって、出すアルバムすべてをヒットさせています。
そのレベルは高く、スムーズ・ジャズの各賞を受賞しているほどです。

ライヴステージも最高です。
私は『ビルボードライブ東京(赤坂:東京ミッドタウンガーデンテラス4階)』で見る機会がありましたが、今まで見たミュージシャンの中でも群を抜いた演奏力でした。
トロンボーンももちろん上手いのですが、キーボードには度肝を抜かれました。
日本製のローランドのエレキピアノを弾いていたと思いますが、手品のような演奏を見せてくれたのです。

最初は普通に弾いていました。
ところが、客席に向かってニヤッと笑うと、演奏しながらエレキピアノの反対側に回りました。
ピアノを弾き続けたままです。

想像できますか?
鍵盤の反対側(客席から背中が見えている状態)で弾いているのです。
あり得ないことをやっているのです。
神の手としか思えませんでした。
ケニーGのロングトーン(サックスから口を離さないで吹き続ける)にも驚きましたが、今回はそれ以上に驚きました。
世の中には凄い人がいるものです。