ドルガーたち魔物討伐隊がグレーザー墓地に着くと、さっそくポイズン・ビッグトードが二匹、出現した。大カエル型の魔物だ。
「あんたら、墓地の隅で待ってろや。望遠でカッコいいとこ写せよ」
ドルガーが自信満々で声を上げると、新聞記者たちは、「おまかせください!」と言い、魔導写真機を構えた。
「バルドン、右に行け! ジョルジュ、氷属性魔法の準備をしておけ。爬虫類系魔物は、氷に弱いと相場が決まっている」
ドルガーはメンバーに指示する。
ポイズン・ビッグトードは、牛三頭分の大きさの大カエルだ。
ドガシャアッ
ポイズン・ビッグトードは墓を壊し、ドルガーをにらみつけると、大きく跳躍した。
巨体で、ドルガーを押し潰す気だ。
「へっ、力まかせで、オレらにかなうわけないぜ。このCランクモンスターが!」
ズバアッ
ポイズン・ビッグトードが飛び上がって体を浴びせてくる瞬間──。ドルガーは自慢の剣「テンペスタ」でなぎ払った。
ポイズン・ビッグトードの胴体は二つに切り裂かれ、そのまま宝石に変化してしまった。
魔物は魔力を帯びた宝石からできており、死ぬと宝石に変化してしまう。これは魔物が魔物を宝石から造り上げているから、といわれている。
「や、やったぜ」
ドルガーが声を上げたその時──。
『警告します。ドルガー・マックスさんから、ダナン・アンテルドさんの【ユニークスキル・幸運の伝播】の効果が外れています。十分、お気をつけください』
また、ドルガーの頭の中で、奇妙な声が響いた。
くそっ、何だってんだよ。うるせぇ声だ! 黙れ!
しかし──。
グニャアッ
ドルガーの背後で、気味の悪い音がした。
ジャイアント・ローパーだ! 触手が全身に生えた、まるで光る木のような奇妙な魔物だ。これはかなりの強敵!
「な、なんだと。グレーザー墓地に、Aランクの魔物がいるのか? 聞いてねえぞ」
バルドンが目を丸くして、声を上げた。
触手がドルガーの全身に絡みついた。物凄い力だ。
「く、くそっ! 動けねえ!」
それを見たもう一匹のポイズン・ビッグトードが、ドルガーに向かって口から毒液を吐いてきた。
ビッシャアア!
「う、うぎゃあっ!」
ドルガーが全身に毒液を浴び、叫び声を上げる。
「ドルガー! 大丈夫か」
バルドンが駆けつける。
「ど、毒が! 毒が……。ジョルジュ、解毒魔法は!」
「い、今……やります!」
しかし、ジョルジュが魔法を放とうとしたとき、後ろからもう一匹のジャイアント・ローパーが襲ってきた。
ガシイイッ
ジャイアント・ローパーは、ジョルジュを触手で羽交い絞めにした。
「こ、こいつ、僕の魔力を吸っている! 解毒魔法が放てない!」
ジョルジュは叫んだが、ドルガーも声を荒げた。
「な、なんだとおおおっ! ジョルジュ、てめえ、早くしろ。オレが毒で死ぬだろうが!」
「む、無理です。魔力が枯渇してきました!」
一方、バルドンは魔物討伐の目的であるスケルトン・ナイトと、剣で応戦している最中だった。
ジョルジュは何とか残った魔力で、火の魔法を放ち、ジャイアント・ローパーを焼き殺した。ジャイアント・ローパーも宝石に変化した。
「ジョルジュ! 解毒剤があるだろ、いつも持ってきてるヤツ」
ドルガーが声を上げる。
「げ、解毒剤? あ、ありません」
「バカ言うな。いつも持ってきてるだろうが!」
くそ、スケルトン・ナイトがまた向こうからやってくる。何匹いるんだ?
ジョルジュは訴えるように言った。
「荷物持ちのダナンをクビにしたから、忘れちまいました! あいつなら解毒薬をいつも常備していたので……」
「な、く、くそおおおっ!」
なんと! こんなところで、あのクソ弱い荷物持ちのダナンの重要性を、再認識するとは。
ドルガーはなんとか、後ろに張りついていたジャイアント・ローパーを、剣で切り裂いた。
「はあっ、はあっ」
ドルガーは満身創痍だ。毒で頭がクラクラする。
「あ、あの~」
新聞記者のゲイリーが、おずおずと小瓶を取り出してドルガーに見せた。
「解毒薬なら、持ってきていますが。妻に魔物退治だから、と持たされて……」
ドルガーはその解毒薬をひったくると、グイグイ飲んだ。
「くそ!」
市販の薬のせいか、効き目が弱い! 後で病院で解毒してもらわなきゃダメだ。だが、今の薬で少しは毒がひいたらしく、多少、体力は回復した。
だが、なんで新聞記者なんかに助けられなきゃなんねーんだよ!
「ドルガーさん! 空を見てください!」
う、うおおおっ!
巨大な真っ黒い魔物が、空を飛んでいる。
「ダークドラゴンだ!」
バルドンが声を上げた。
「え、SS級モンスターだぞおおっ!」
「ち、ちきしょう! な、何でこんなときに?」
ドルガーがそう叫んだとき──。
『警告。ドルガー・マックスさんから、ダナン・アンテルドさんの【ユニークスキル・幸運の伝播】の効果が外れています。お気をつけください』
再度、ドルガーの頭の中で、例の奇妙な声が響いた。
「うっせえんだよ!」
ドルガーは、自分の頭の中の声に怒鳴った。
「逃げるぞー! バルドン、ジョルジュ!」
「く、くそ、マジかよ。オレらAランクパーティーだぞ」
バルドンは悔しそうに言った。
グオオオオオオッ
ダークドラゴンが大口を開けて、空から火を吐こうとしている。
「火にまきこまれるぞ! 墓地から逃げろっ!」
ドルガーは新聞記者たちを突き飛ばして、墓地からさっさと逃げていった。バルドンやジョルジュも後に続く。
新聞記者二人は顔を見合わせていたが、「なんだ? ひどい魔物討伐隊だぜ……」と言いつつ、逃げ出した。
「あんたら、墓地の隅で待ってろや。望遠でカッコいいとこ写せよ」
ドルガーが自信満々で声を上げると、新聞記者たちは、「おまかせください!」と言い、魔導写真機を構えた。
「バルドン、右に行け! ジョルジュ、氷属性魔法の準備をしておけ。爬虫類系魔物は、氷に弱いと相場が決まっている」
ドルガーはメンバーに指示する。
ポイズン・ビッグトードは、牛三頭分の大きさの大カエルだ。
ドガシャアッ
ポイズン・ビッグトードは墓を壊し、ドルガーをにらみつけると、大きく跳躍した。
巨体で、ドルガーを押し潰す気だ。
「へっ、力まかせで、オレらにかなうわけないぜ。このCランクモンスターが!」
ズバアッ
ポイズン・ビッグトードが飛び上がって体を浴びせてくる瞬間──。ドルガーは自慢の剣「テンペスタ」でなぎ払った。
ポイズン・ビッグトードの胴体は二つに切り裂かれ、そのまま宝石に変化してしまった。
魔物は魔力を帯びた宝石からできており、死ぬと宝石に変化してしまう。これは魔物が魔物を宝石から造り上げているから、といわれている。
「や、やったぜ」
ドルガーが声を上げたその時──。
『警告します。ドルガー・マックスさんから、ダナン・アンテルドさんの【ユニークスキル・幸運の伝播】の効果が外れています。十分、お気をつけください』
また、ドルガーの頭の中で、奇妙な声が響いた。
くそっ、何だってんだよ。うるせぇ声だ! 黙れ!
しかし──。
グニャアッ
ドルガーの背後で、気味の悪い音がした。
ジャイアント・ローパーだ! 触手が全身に生えた、まるで光る木のような奇妙な魔物だ。これはかなりの強敵!
「な、なんだと。グレーザー墓地に、Aランクの魔物がいるのか? 聞いてねえぞ」
バルドンが目を丸くして、声を上げた。
触手がドルガーの全身に絡みついた。物凄い力だ。
「く、くそっ! 動けねえ!」
それを見たもう一匹のポイズン・ビッグトードが、ドルガーに向かって口から毒液を吐いてきた。
ビッシャアア!
「う、うぎゃあっ!」
ドルガーが全身に毒液を浴び、叫び声を上げる。
「ドルガー! 大丈夫か」
バルドンが駆けつける。
「ど、毒が! 毒が……。ジョルジュ、解毒魔法は!」
「い、今……やります!」
しかし、ジョルジュが魔法を放とうとしたとき、後ろからもう一匹のジャイアント・ローパーが襲ってきた。
ガシイイッ
ジャイアント・ローパーは、ジョルジュを触手で羽交い絞めにした。
「こ、こいつ、僕の魔力を吸っている! 解毒魔法が放てない!」
ジョルジュは叫んだが、ドルガーも声を荒げた。
「な、なんだとおおおっ! ジョルジュ、てめえ、早くしろ。オレが毒で死ぬだろうが!」
「む、無理です。魔力が枯渇してきました!」
一方、バルドンは魔物討伐の目的であるスケルトン・ナイトと、剣で応戦している最中だった。
ジョルジュは何とか残った魔力で、火の魔法を放ち、ジャイアント・ローパーを焼き殺した。ジャイアント・ローパーも宝石に変化した。
「ジョルジュ! 解毒剤があるだろ、いつも持ってきてるヤツ」
ドルガーが声を上げる。
「げ、解毒剤? あ、ありません」
「バカ言うな。いつも持ってきてるだろうが!」
くそ、スケルトン・ナイトがまた向こうからやってくる。何匹いるんだ?
ジョルジュは訴えるように言った。
「荷物持ちのダナンをクビにしたから、忘れちまいました! あいつなら解毒薬をいつも常備していたので……」
「な、く、くそおおおっ!」
なんと! こんなところで、あのクソ弱い荷物持ちのダナンの重要性を、再認識するとは。
ドルガーはなんとか、後ろに張りついていたジャイアント・ローパーを、剣で切り裂いた。
「はあっ、はあっ」
ドルガーは満身創痍だ。毒で頭がクラクラする。
「あ、あの~」
新聞記者のゲイリーが、おずおずと小瓶を取り出してドルガーに見せた。
「解毒薬なら、持ってきていますが。妻に魔物退治だから、と持たされて……」
ドルガーはその解毒薬をひったくると、グイグイ飲んだ。
「くそ!」
市販の薬のせいか、効き目が弱い! 後で病院で解毒してもらわなきゃダメだ。だが、今の薬で少しは毒がひいたらしく、多少、体力は回復した。
だが、なんで新聞記者なんかに助けられなきゃなんねーんだよ!
「ドルガーさん! 空を見てください!」
う、うおおおっ!
巨大な真っ黒い魔物が、空を飛んでいる。
「ダークドラゴンだ!」
バルドンが声を上げた。
「え、SS級モンスターだぞおおっ!」
「ち、ちきしょう! な、何でこんなときに?」
ドルガーがそう叫んだとき──。
『警告。ドルガー・マックスさんから、ダナン・アンテルドさんの【ユニークスキル・幸運の伝播】の効果が外れています。お気をつけください』
再度、ドルガーの頭の中で、例の奇妙な声が響いた。
「うっせえんだよ!」
ドルガーは、自分の頭の中の声に怒鳴った。
「逃げるぞー! バルドン、ジョルジュ!」
「く、くそ、マジかよ。オレらAランクパーティーだぞ」
バルドンは悔しそうに言った。
グオオオオオオッ
ダークドラゴンが大口を開けて、空から火を吐こうとしている。
「火にまきこまれるぞ! 墓地から逃げろっ!」
ドルガーは新聞記者たちを突き飛ばして、墓地からさっさと逃げていった。バルドンやジョルジュも後に続く。
新聞記者二人は顔を見合わせていたが、「なんだ? ひどい魔物討伐隊だぜ……」と言いつつ、逃げ出した。