僕は片腕で──魔力模擬剣で、その斧を受けた。
「お、俺の『魔界の斧』を受けるとは! しかも──片手で? あ、ありえん!」
ドルガーは声を上げ、また巨大斧を今度は右斜めに持ち上げた。
「ありえんのだああっ!」
ビュオ
ドルガーはまたしても高速で、全力で振り下ろしてきた。
しかし僕には、斧の軌道がすべて見えていた。
カッ
周囲に乾いた音が響く。
「え? お、おろ?」
魔獣ドルガーは動きを止めて、自分の巨大な斧を見た。
ガシャッ……
僕の手前に、斧の刃部分が、金属音を立ててむなしく落ちた。
「な、なんだ?」
「おい、何が起きた?」
「みろっ! ドルガーの斧が……」
観客がざわめいている。
ドルガーの魔界の斧の柄が斬られ、刃部分ごと、地面に落ちた。
僕は斧の柄を魔力模擬剣で斬撃し、斧の刃部分を切断したのだ。
「ばっ、ばかな!」
魔獣ドルガーは、一歩、二歩、後退した。
僕は松葉杖を使って、少しずつドルガーとの距離を縮めていく。
「ま、待てっ。少し休憩時間を入れよう。──そ、そうだ! ランゼルフ・ギルドに戻ってこないか? 楽しいぞー。元のギルドに戻って、皆と楽しくやろう」
ドルガーはニコニコ笑顔で言った。しかし、魔獣の顔で笑顔になっても、ちっともなごまない。
「『戻ってこい』と言われても、もう遅い」
僕は言った。
しかし──魔獣ドルガーは冷や汗をぬぐいながら、笑った。
「な~んてな!」
ドルガーの手には、さっきの魔界の斧が握られていた。魔力で再生した? いや、そうじゃない。
しかも、右手、左手にそれぞれ一本ずつ──! 斧の二刀流か!
「異次元空間に、魔界の斧を十本ストックしてある! ダナン! これでお前もおしまいだ!」
ドルガーが、わめいているその時……!
『エクストラ・ボーナス 【大天使の治癒】の発動を開始いたします。十五分間、ダナン・アンテルドの右足は完全回復します』
僕の頭の中で──声が響いた。そうか、【大天使の治癒】が発動したか。
この時がきた。
これですべてを──全力を出せる。
タッ
僕は飛んだ──。
「は、ひっ……! ま、待て!」
魔獣ドルガーは叫んだ。
僕はドルガーに向かい、空中で魔力模擬剣を振り下ろした。
ガッキイイイッ
魔獣ドルガーは、二本の巨大斧をクロスさせて、僕の攻撃を防いだ。
「くおのやろおおおっ!」
ドルガーはうめく。僕が着地した時!
ドガアアアッ
ドルガーの足蹴り! とてつもなく強烈な前蹴りが、僕の胸部に当たった。
僕は七メートルは吹っ飛んだ。確かに魔族の力だ、攻撃の威力はすごい。
だが!
スタッ
僕は一回転して、床に降り立った。
「なっ、なんだと? あの渾身の前蹴りを!」
ドルガーは声を震わせた。
さすが【大天使の治癒】の効果だ。右足は完全に動くぞ!
それに僕は、前蹴りの直撃の瞬間、後ろに飛び下がった。そうすることで、前蹴りの威力も半減させた。
僕は松葉杖を、舞台外にいたアイリーンに手渡した。
アイリーンは僕の松葉杖を抱えながら、声を上げた。
「ダナン! 【大天使の治癒】の効果は、十五分だけだよ! 今、試合時間が十分経過……。試合時間はあとニ十分もある」
ドルガーはずしゃりずしゃりと、一歩一歩近づいてくる。
「なるほど、魔力か何かで、右足が回復したのか? こざかしい!」
ブオッ、ブオオオオオッ
ドルガーは魔界の斧を、僕に向かって──。
二本いっぺんに投げつけてきた!
(まさか、斧を投げつけるとは!)
僕がそれを避けると、斧は頭上を越え、空の向こうにいってしまった。
……が、二本とも、また戻ってきた。
ブーメランのようだ! しかも、速度が増している!
ブオオオオン
僕はそれをまたしても避ける。
パシッ
ドルガーは斧を二本、手で受け止め、ニヤリと笑った。
「よくぞ避けた。だが、これで終わりだと思ったかああ!」
ドルガーは全速力で僕に近づいてきた。そして──。
右手の斧、左手の斧《おの》を、同時に僕めがけて、振り下ろしてきた。
僕はそれを簡単に避ける。
ガイイイイイインッ
二本の斧は、すさまじい金属音を立てて、床に当たった。
僕の足は軽い、まるで羽が生えたようだ。
しかし──。
ドルガーの頭上を見ると、巨大な斧が宙に浮いている。
「フフフッ」
ドルガーは笑った。
「これで──決着だ」
四本目の魔界の斧だ! 魔力で斧を宙に浮かせて、落下させるというのか!
「破壊する!」
ものすごい勢いで、斧が急降下してきた。
しかし! 僕には斧が落下してくる軌道が見える!
ガイイイイイン
僕は急降下してきた斧を、魔力模擬剣で弾き飛ばした。
「な、なにいいっ?」
魔獣ドルガーは目を丸くして、僕を見た。
「お、俺の『魔界の斧』を受けるとは! しかも──片手で? あ、ありえん!」
ドルガーは声を上げ、また巨大斧を今度は右斜めに持ち上げた。
「ありえんのだああっ!」
ビュオ
ドルガーはまたしても高速で、全力で振り下ろしてきた。
しかし僕には、斧の軌道がすべて見えていた。
カッ
周囲に乾いた音が響く。
「え? お、おろ?」
魔獣ドルガーは動きを止めて、自分の巨大な斧を見た。
ガシャッ……
僕の手前に、斧の刃部分が、金属音を立ててむなしく落ちた。
「な、なんだ?」
「おい、何が起きた?」
「みろっ! ドルガーの斧が……」
観客がざわめいている。
ドルガーの魔界の斧の柄が斬られ、刃部分ごと、地面に落ちた。
僕は斧の柄を魔力模擬剣で斬撃し、斧の刃部分を切断したのだ。
「ばっ、ばかな!」
魔獣ドルガーは、一歩、二歩、後退した。
僕は松葉杖を使って、少しずつドルガーとの距離を縮めていく。
「ま、待てっ。少し休憩時間を入れよう。──そ、そうだ! ランゼルフ・ギルドに戻ってこないか? 楽しいぞー。元のギルドに戻って、皆と楽しくやろう」
ドルガーはニコニコ笑顔で言った。しかし、魔獣の顔で笑顔になっても、ちっともなごまない。
「『戻ってこい』と言われても、もう遅い」
僕は言った。
しかし──魔獣ドルガーは冷や汗をぬぐいながら、笑った。
「な~んてな!」
ドルガーの手には、さっきの魔界の斧が握られていた。魔力で再生した? いや、そうじゃない。
しかも、右手、左手にそれぞれ一本ずつ──! 斧の二刀流か!
「異次元空間に、魔界の斧を十本ストックしてある! ダナン! これでお前もおしまいだ!」
ドルガーが、わめいているその時……!
『エクストラ・ボーナス 【大天使の治癒】の発動を開始いたします。十五分間、ダナン・アンテルドの右足は完全回復します』
僕の頭の中で──声が響いた。そうか、【大天使の治癒】が発動したか。
この時がきた。
これですべてを──全力を出せる。
タッ
僕は飛んだ──。
「は、ひっ……! ま、待て!」
魔獣ドルガーは叫んだ。
僕はドルガーに向かい、空中で魔力模擬剣を振り下ろした。
ガッキイイイッ
魔獣ドルガーは、二本の巨大斧をクロスさせて、僕の攻撃を防いだ。
「くおのやろおおおっ!」
ドルガーはうめく。僕が着地した時!
ドガアアアッ
ドルガーの足蹴り! とてつもなく強烈な前蹴りが、僕の胸部に当たった。
僕は七メートルは吹っ飛んだ。確かに魔族の力だ、攻撃の威力はすごい。
だが!
スタッ
僕は一回転して、床に降り立った。
「なっ、なんだと? あの渾身の前蹴りを!」
ドルガーは声を震わせた。
さすが【大天使の治癒】の効果だ。右足は完全に動くぞ!
それに僕は、前蹴りの直撃の瞬間、後ろに飛び下がった。そうすることで、前蹴りの威力も半減させた。
僕は松葉杖を、舞台外にいたアイリーンに手渡した。
アイリーンは僕の松葉杖を抱えながら、声を上げた。
「ダナン! 【大天使の治癒】の効果は、十五分だけだよ! 今、試合時間が十分経過……。試合時間はあとニ十分もある」
ドルガーはずしゃりずしゃりと、一歩一歩近づいてくる。
「なるほど、魔力か何かで、右足が回復したのか? こざかしい!」
ブオッ、ブオオオオオッ
ドルガーは魔界の斧を、僕に向かって──。
二本いっぺんに投げつけてきた!
(まさか、斧を投げつけるとは!)
僕がそれを避けると、斧は頭上を越え、空の向こうにいってしまった。
……が、二本とも、また戻ってきた。
ブーメランのようだ! しかも、速度が増している!
ブオオオオン
僕はそれをまたしても避ける。
パシッ
ドルガーは斧を二本、手で受け止め、ニヤリと笑った。
「よくぞ避けた。だが、これで終わりだと思ったかああ!」
ドルガーは全速力で僕に近づいてきた。そして──。
右手の斧、左手の斧《おの》を、同時に僕めがけて、振り下ろしてきた。
僕はそれを簡単に避ける。
ガイイイイイインッ
二本の斧は、すさまじい金属音を立てて、床に当たった。
僕の足は軽い、まるで羽が生えたようだ。
しかし──。
ドルガーの頭上を見ると、巨大な斧が宙に浮いている。
「フフフッ」
ドルガーは笑った。
「これで──決着だ」
四本目の魔界の斧だ! 魔力で斧を宙に浮かせて、落下させるというのか!
「破壊する!」
ものすごい勢いで、斧が急降下してきた。
しかし! 僕には斧が落下してくる軌道が見える!
ガイイイイイン
僕は急降下してきた斧を、魔力模擬剣で弾き飛ばした。
「な、なにいいっ?」
魔獣ドルガーは目を丸くして、僕を見た。