俺が妃彩様の執事になって、二日目。今から、奥様のところへ向かう。


 「失礼します、妃彩です」

 「おいで」

 「では、行かせてもらいます」

 「晃くんもね」

 「……はい」


 俺も、か。


 「私からね、二人に言っておきたい事があるの。
 ───私は、いつでも二人の味方だからね、って。
 でも……ごめんなさい。私は、妃彩ちゃんが虐められているのを……助けられなかった。
 ここから追放されて、警察にも捕まるのを考えたら……できなかったの……。本当に、ごめんなさい……」


 ……過去に、何があった? 俺は、知らないことだ。警察……妃彩様は、捕まえられるじゃないか。


 「え、いや、そう考えてくれるだけで、嬉しいです……! ありがとうございます」


 優しい、な。


 「晃くん、君にも言いたいことがあるかな。……妃彩ちゃん、席を外してくれる?」


 え? 俺だけ? 妃彩様が出る……? ……まさか……いや、バレてないはず……。


 「はい、」

 すぐ、妃彩様は退出した。