「ねぇ、真央って占い出来るんだよね?」
 何の前置きもなく、鈴音が尋ねてきた。
鈴音は占いとか幽霊とか信じないタイプなので、聞いてくるなんて意外だ。
「珍しいね。鈴音が占いとか聞いてくるなんて。何かあったの?」
「実は、、、」ぽつりぽつりと何があったのか話し始める。

 鈴音曰く、鈴音の実家は喫茶店を営んでいるが、最近、お客さんが中々来なくなってしまったんだとか。
「うそ、、、鈴音のお母さんが作るホットケーキ、美味しいのに、、、」
「ありがとう。それでね、お母さんが占い師さんに占ってもらったの、、、そしたら先祖の霊が憑いているからって言われて、、、」
高い壺を買わされたらしい。、、、完全に占い師を名乗った詐欺師だと頭の中で結論付ける。
「ちなみにその壺は何円ぐらい?」
「、、、五十万」
「ごっ、、、」
『インチキだろ』
あまりの高すぎる値段に私も兄さまも驚く。
(でも、インチキ占い師の値段としてはそれくらいが普通なのかな?)

 放課後、鈴音の家である『喫茶店・鈴』に行く。確かにお客さんは少ないし、鈴音のお母さんは少し痩せこけていた。
「いらっしゃいませ〜」それでも元気良く注文を取る鈴音のお母さんを見ていると、インチキ占い師に怒りが込み上げてくる。
『インチキ野郎の言っていた先祖の霊とかも憑いていないしな』
「うん、、、」
 閉店の時間になると鈴音の提案でお母さんを占うことになった。
「先祖の霊は憑いてないです。きっと占い師は偽物だったと思います」
占い、、、というより霊視の結果を告げる。
「でも、私が喫茶店をやっていることも、お客さんの数が少なくなていることも当てていたし、、、」
(確かに、、、何で分かったんだろう?)
「誰にでも当てはまる一般的な特徴や説明を()()()()()()()()()()と勘違いしてしまうことをバーナム効果という。初めにそれを使い、信用させて相手から情報を引き出す。引き出した情報を使って適当に先祖の霊が憑いてるから壺を買えば先祖の怒りはそれに吸い込まれる、、、とか何とか言ったんだろ」
兄さまはスラスラと占い詐欺のことを話していく。鈴音のお母さんは口を開けて驚いている。
『やっぱり兄さまは凄い!』
 その週末、私達はそのインチキ占い師の所へ行くことに決めた。