落ち着きを取り戻し、周りの音を拾えるようになった頃、いきなりお母さんに謝られた。
「ごめんなさい、、、今まで酷いこと言って、、、許してなんて言わないから、どうかこの謝罪を受け入れてほしい」
何を言っているのか分からなかった。だって、お母さんは私のことが嫌いなんじゃないの?
お父さんが言った。
「真由子は玲央を亡くして、何処に悲しみを吐き出せば分からなかったんだ、、、。毎晩、俺に言っていたよ、「真央を傷付けてしまった、、、」って。すまなかった」
「何で、、、今更、、、?」
「、、、真央が苦しんでいる時、親として何を言えば分からなかった。何を言っても効果なかった。取り返しのつかないことをしてしまったと後悔したんだ、、、」
黙る。
動く者は現れない。
ゆっくり口を開いたのは兄さまだった。
「、、、真央が許してもオレは許さない。ババアは真央を傷付け、泣かせた。その涙が鋭利な刃物となって何度心をズタズタに切り刻んだか分かってるのか!?」
重い空気が流れた。
「親父も重罪だ!何もしてこなかっただろ!何が親としてだ、巫山戯んな!!」
お父さんは目を逸らしたが、すぐに兄さまを見つめた。
私も、何も言えなかった。
兄さまは、私のことを深く理解してくれていたのだ。
自分でも意図していないところまで全部、、、。
「今更謝られて「はい、良いですよ」と言える訳な
―――」
「良いよ。もう、、、」
兄さまの気持ちもよく分かる。それでも、私はまたあの頃みたいに仲良くしたい。
これが、私の決意表明だ。


数ヶ月が経った。お母さんとお父さんは反省し、今では仲良くなっている。
あの頃に近付けたのかもしれない。でも、完全に戻るにはもう一人必要。
四人掛けのテーブル、隣の椅子は空席のまま。
兄さまが此処に座っていれば、、、。
(時戻し、、、兄さまを助けることが出来る、、、)
兄さまを助けたい。
時戻しをするには時雨くんの手を借りなければ行えない。手を、借りなければ、、、。