真央が熱を出した。元々体は弱い方ではなかったが、強い方でもなかった。季節の移り変わりによく体調を崩す程度だった。
体温計で測ると三十八度を軽く超えている。親父とババァは仕事に行った。大丈夫?そんな言葉も言わずに、、、。
 今回の原因は不安、恐れ、悲しみ、プレッシャーなどだとオレは思う。
高校生になってから勉強が難しくなったからだろうか。最近、夜遅くまで勉強を続けていたから。
「勉強、、、やらなきゃ」
『駄目だ』
机に向かおうとする真央を必死に止める。
 今は体を休ませる時間だ。
「兄さま、、、」
『ん?』
「何で私は、、、認めてもらえないの?」
この子は寂しがり屋だ。だけど努力家で、誰よりも両親に褒められたいと思っている。小さかった頃のように、、、。
 憑き物を祓えるようになって、勉強も出来たらきっと褒めてくれる、そう思ったのだろう。
笑顔の裏側で何時も泣いている小さな子供。
他人のこと優先で、自分のことは二の次―――とんだお人好しで誰よりも優しい子。
ずっと見てきたから分かる。
真央はそういう子だ。

だけど、な?
 ねぇ、もう良いだろ?
 もう、休めよ
 オレも、真央も、、、
 大丈夫。心配しなくて良い。

 守るって、決めたから―――
 泣かせないって、決めたから―――
 真央の側にいるって、決めたから―――
 だから―――

『おやすみ、真央。、、、今は眠れ』
絶対にお前をひとりにはさせない。