スマホに一件の新着メールが届く。
タップして開くと、夏谷真央からだった。
【時雨くん、体調は大丈夫そう?もし無理そうなら今日の憑き物退治、やめとく?】
「時雨〜!大丈夫かよ?」
「何処でそんな怪我したんだよ」
 クラスメート達が時雨の包帯で巻かれた手を心配する。
「あぁ少しね」
 何事もなさそうに手を振ると、クラスメート達は「気を付けろよ〜」とだけ言って、それぞれの席に戻った。
(本当に、気を付けないと)
 この怪我は昨日、何気ない気持ちで真央に触れた時に出来た怪我だ。
 手を弾いたと思ったらそれを認識するよりも早く、目眩(めまい)や吐き気、立ち上がれない程の衝撃が体に走り、体が鋭い牙のような物で何度も刺されているような感覚と何かに(むさぼ)られている感覚に一気に襲われた。
触ろうとした手は大きなダメージを受け、上がらない状態になっている。
(あの娘が付けている憑き物避けのお守り、、、中々強力なやつだ)
 お守りだけでとても強い霊力が込められている。それこそ、中級レベルの憑き物なら簡単に祓えてしまえそうな、、、。
あれを作った人はかなり優秀だと言える。
(興味深い、、、)
 その時、頭の中で怒声が響く。
『出て行け!』
流石祓い屋の子なだけあって、まだ抵抗する力が残っていたとは、、、。
これは、ばらく続きそうだ。
「やはり、弱い。祓い屋の子供って聞いたから強いと思ったんだが、、、」
 口元に意味ありげな弧を浮かべ、真央をじっと見つめる。
「ツヨイト、イイナァ」
呟いた言葉は誰にも拾われることなく、チャイムの音に包まれていった。