どうしよ。勢いに任せてあんなふうに言っちゃったけど、緊張する。もう20時なのに。

__莉緒ちゃんは私なんかっていつも言うけど、俺からしたらもう尊敬しかないよ。優しくて、一生懸命で、けっこう友達想いですぐ泣くけど、最後まで諦めない。自分よりも友達のことを褒められたほうが喜ぶところが好き。悪口は絶対に言わない。でも、一人で溜め込んじゃうから、僕が守ってあげられたらいい。本当に好き。あとは、音楽が好きで、勉強はあんまり得意じゃなくて。もう、いいところしか出てこない。あとは、笑顔が最強にかわいい。なんか子犬みたいで、すごく守ってあげたくなる。でも、他にも、たくさん。僕が一番莉緒ちゃんのこと好きだって、自信を持って言えるくらい。だから、あんなふうに謝らないでほしい。


僕が一番好きなところは、二つになっちゃうけど、僕の好きなことだったり、やりたいことだったりを否定しないこと。それから、人に流されて変わったりしないこと。自分を持っているところが、密かに憧れ。まあ、莉緒ちゃんはまだ彼女じゃないけど。

__それに比べて僕は、本当にどうかしてる。本当は、話しかけるのはすごく怖くて。僕から離れていくのが目に見えて。ずっと孤独な気がして。しかも最近鬱みたいになってきちゃって。もし、装ってるのが、莉緒ちゃんにばれたら。本当の性格がばれたらって、怖くて。本当は緊張して心臓がどっか飛んでっちゃいそうで。だから必死に笑ってるだけで。そんなふうになるのは莉緒ちゃんだけ。学年の差とか、関係ない。僕にとって莉緒ちゃんは、どうしようもないくらいの宝物みたいな存在なんだ。でも、引かれそうだからみんなには内緒。

......って僕何考えてるんだろ、気持ち悪。

どうでもいいけど、僕が莉緒ちゃんと知り合ったのは、あの小説のおかげだったよね。後で読もうっと。てかどこにやったっけ?

ああ、さっきから家の中うろうろしてるくらいならLINEでもしたほうがよっぽどましだよ。わかってる。もう50分経過...時間ってはや。...じゃなくて!まじちゃんとしないと!

__あ、そういえば。僕本当は心臓病で、20歳まで生きられるかどうか分からないから言わなきゃいけないのに、まだ莉緒に言えてないんだよなあ。どうしよう。てか自分でも信じられないのに言えないけどさ。

親に病院に連れて行かれて、最近診断されたんだ。受験期にすることじゃないよな、ほんと。

ん?いや、待てよ。うん。てか今年受験じゃん!勉強してないし!

あー、もう...あと2分で21時だし。

結局LINEしてない...。やば、これじゃ嘘ついたみたいじゃん!あ〜、もう自分が嫌になる...。

___やっぱり、思い切って伝えよう。好きだ、って。

それに欲を言えば、今年の夏祭りは莉緒と一緒に行きたいし。花火だって見たい。