ーなんで、自分がそうしたのか。
全く分からない。
気が付いたら、勝手に体が動いてた。
全く。少女を体張って守るとか。お前、そんなキャラじゃねえだろ。どっちかってえと、あのイケメン勇者の方だろうが。その役目。
「……」
薄れる意識の中、天使の少女が驚愕した顔でこちらを見下ろしてるのが見て取れた。
ほら。柄にもねえことするから、死人をお迎えするべき天使が本業忘れて、引いてんじゃん。
「.........」
その時。頭の中で次々映像が流れては消えていくという不思議な現象が起き始めた。
なんだこれは。
ああ、そっか。これは、今までの人生の走馬灯ってやつか。
自分が8歳の頃。飲んだくれた親父が、いつものように母さんに暴力ふるって、何か分けのわからないことをまくしたてながら家を出て行った映像。
瘦せこけた母さんが「ごめんね....」と言って、死んでいった映像。
その悲しみを埋めるため、一心不乱に畑を耕してる映像。
初めて冒険者ギルドに来たけど、誰にも声をかけられず、逆にかけてもらえず終了した映像。
それが悔しくて、苛立ち紛れに、畑を耕す映像。そして種まき、水撒き。
また凝りもせず、冒険者ギルドに行って、今度は「一人で出来る依頼はないか?」と勇気を振り絞って聞いたのに、首を振られ、「冒険者登録はお済みでしょうか?身分証明書と登録料が必要になります。」と門前払いされ、苛立ち&恥ずかしさ紛れに畑の草取り、水撒きする映像。
もう、なんだか人と関わるの疲れたので、図書館に行って、農作物の本を熟読する映像。
そして、本で学んだ知識を生かしながら、育て、なんとか作物が出来、それを収穫。思った以上に良い物が出来たので、それを売りに行き、お金になり、そのお金で念願の冒険者になる映像。
俺でもやれば出来るんだ!と、その日はハイテンションで畑を耕す映像。そして、上機嫌で鼻歌歌いながらの種まき水撒き。
冒険者初仕事、炎天下の中での草取り。朝~夜と長時間やったにも関わらず、スズメの涙ぐらいの報酬で無になった映像。
翌日。「こっちの方がよっぽど有意義だわ!!!!!」と苛立ち紛れに、自分の畑で実った作物を収穫してる映像。
度々冒険者ギルドに行って、依頼を受けるも、一人でできる依頼の報酬はどれもスズメの涙で、もう何度目か分からない無になる映像。
無の感情のまま、畑仕事する映像。。。。
あれ?ちょっと待って。俺、半分以上、畑仕事やってね?
と。衝撃の事実に驚いた時。
どくん!
突如、激しく胸が高鳴り、体中にバーッと血が一気に巡っていくのが分かった。
なんだこれは。
なんだこれは。なんだこれは。なんだこれは。なんだこれは。なんだこれは。なんだこれは。
なん·····
「ぬおぉおおおぉおおおーーー!!!!!」
カッ!と目が見開き、日陰は勢い良く立ち上がっていた。
「!!!!···に、にんげん···さん··?」
先程の引いてた時とは違う、今度は驚き、呆気にとられた顔の天使がそこに居た。
「·····はえ?」
あれ?俺、確かオネエ悪魔の攻撃受けて、死んだはず···
なんで逆に、元気百倍!アン〇〇マン!みたいに、みなぎって立ち上がってんだ?あれ???
「きっと、"闇"の力を受けて、元気になっちゃったのね。」
存在忘れてたオネエ悪魔が、そんなことを言いながら近づいてきた。
「は?"闇"??てか、まだ居たのか。お前。」
「ひどくなぁ~い?仮にも、主人公殺しかけそうになった最重要人物なのにぃー。」
と。その時。
バッと日陰を守るように少女の天使が前に躍り出た。
その瞬間。日陰は、あれ?とあることに気付く。
この子が近くにいた時は、あんなにゲーゲー言ってたのに、今は何ともないぞ···?
「なによ?そんなにガン飛ばしてきて。イヤな感じー。」
「あ、あなたは人殺しの悪魔です‼どうしてだか、……ウッ、人間さんは助かりましたが、人間さんを殺しかけたのは事実!!!そんな危ない人をッ……これ以上、人間さんに近づけさせるわけにはいきません‼ウぷッ。」
その天使の正義の独白に、オネエ悪魔は「疲れるわあ~、こいつ」という盛大なため息をつく。
「あのねえ、あんた。気付いてないようだから、教えてあげるけど、あんたが守ろうとしてるそこの人間さんは、」
「だ、黙りなさい!!これでもくらえ!えいっ!」
と。天使が両手を前に出すと、ポンッとなんとも気の抜けた音がしたと同時。テニスボールくらいの白い玉がフワフワ飛んでいき、悪魔の顔ら辺でシャボン玉のように軽くぱん!と弾けた。
「えぇっと、今のは···、渾身の一発芸か何か?」
日陰がそう問うと、顔を真っ赤にした天使が振り向いて叫ぶ。
「っち、違います!!!今のはれっきとした光属性の攻撃ですー!!」
それを聞いた悪魔が今度は「ぷー!!!」と屁···じゃない、大爆笑し出した。
「えーー!!ウソでしょー?今のが、攻撃ー?え、やだ、え?やだ、プププッ!!ねえ、ちょっと、プッ、私が知ってる攻撃と大分違うんだけどー!私が間違ってるのかしら?ねえ、私が間違ってる?ぷープププププ!!」
「っ····!」
ふと。天使を覗き見ると、きゅっと服を掴み、耳まで顔を真っ赤にして、悔しさで顔を歪ませていた。
「........」
ああ。なんだか、こういうの覚えあるな。
「ねえ、薄々思ってたんだけどー、あんたさ、もしかしてポンコツ、」
「笑うな。」
声は張ってないが、低くはっきりとした声がすると、悪魔は「あ?」と笑うのを止め、天使は驚いた顔でこちらを見たのが分かった。
「人の欠点をゲラゲラ笑うな。見てて腹が立つ。」
「はあ?なによ、あんた。急に正義ぶっちゃって。私が別にそこのポンコツ天使をバカにしたって、あんたには別に関係ないことでしょ?」
「..........」
関係ない。
そう、関係ないことだ。だけど、だけどじゃあ、
このイラつく感情は、何なんだよ
「いいから····笑うんじゃねえ。」
すると。次の瞬間、日陰の感情に呼応するように、日陰からゆっくり陽炎のように黒い霧のようなものが立ち込み始めた。
それを見た悪魔は、ビビるどころかウットリと、とろけた表情を見せる。
「あら~♡良い闇の気を出すじゃなぁ~い♡あんた。」
「あ?闇?」
一体、何を言ってるんだ?この悪魔は。
と。天使の少女に答えを求めるため、そちらを見ると。
「うげ~~~~~。」
吐いてた。
「えぇーーーーーーー!」
「す、すいません....。なんだか......先ほどから……実は気持ち悪くて......うっ、もう、限界……すいません.....わたし、この場からちょっと.....離れます...」
そして、天使はよろめきながらフラフラとどこかへ飛び去って行ってしまった。
「...........」
その、あまりにも衝撃展開に、日陰は半眼で見送るしかできず。
「ねえ、あんた。さっきも同じ質問したけど、なんで天使と話してたの?」
「......いや、死期が近い俺のこと迎えに来たって言って...、いや、違うか。直接は言ってないけど、多分、俺のことを迎えに来た天使で…。」
「逃げちゃったけど?その迎えの天使。」
「……ドウシテ……」
日陰は、その場にorzの恰好でくず折れた。
「ねえ、あんたさあ、人間では稀な”闇属性”でしょ?」
「あ?"闇属性"??俺が?なんで?」
「あら。もしかして無自覚?仕方ない。あんたの闇の気に惹かれてやってきた、このセクシーでキュートな私がト・ク・ベ・ツに♡教えてあげる♡」
全く分からない。
気が付いたら、勝手に体が動いてた。
全く。少女を体張って守るとか。お前、そんなキャラじゃねえだろ。どっちかってえと、あのイケメン勇者の方だろうが。その役目。
「……」
薄れる意識の中、天使の少女が驚愕した顔でこちらを見下ろしてるのが見て取れた。
ほら。柄にもねえことするから、死人をお迎えするべき天使が本業忘れて、引いてんじゃん。
「.........」
その時。頭の中で次々映像が流れては消えていくという不思議な現象が起き始めた。
なんだこれは。
ああ、そっか。これは、今までの人生の走馬灯ってやつか。
自分が8歳の頃。飲んだくれた親父が、いつものように母さんに暴力ふるって、何か分けのわからないことをまくしたてながら家を出て行った映像。
瘦せこけた母さんが「ごめんね....」と言って、死んでいった映像。
その悲しみを埋めるため、一心不乱に畑を耕してる映像。
初めて冒険者ギルドに来たけど、誰にも声をかけられず、逆にかけてもらえず終了した映像。
それが悔しくて、苛立ち紛れに、畑を耕す映像。そして種まき、水撒き。
また凝りもせず、冒険者ギルドに行って、今度は「一人で出来る依頼はないか?」と勇気を振り絞って聞いたのに、首を振られ、「冒険者登録はお済みでしょうか?身分証明書と登録料が必要になります。」と門前払いされ、苛立ち&恥ずかしさ紛れに畑の草取り、水撒きする映像。
もう、なんだか人と関わるの疲れたので、図書館に行って、農作物の本を熟読する映像。
そして、本で学んだ知識を生かしながら、育て、なんとか作物が出来、それを収穫。思った以上に良い物が出来たので、それを売りに行き、お金になり、そのお金で念願の冒険者になる映像。
俺でもやれば出来るんだ!と、その日はハイテンションで畑を耕す映像。そして、上機嫌で鼻歌歌いながらの種まき水撒き。
冒険者初仕事、炎天下の中での草取り。朝~夜と長時間やったにも関わらず、スズメの涙ぐらいの報酬で無になった映像。
翌日。「こっちの方がよっぽど有意義だわ!!!!!」と苛立ち紛れに、自分の畑で実った作物を収穫してる映像。
度々冒険者ギルドに行って、依頼を受けるも、一人でできる依頼の報酬はどれもスズメの涙で、もう何度目か分からない無になる映像。
無の感情のまま、畑仕事する映像。。。。
あれ?ちょっと待って。俺、半分以上、畑仕事やってね?
と。衝撃の事実に驚いた時。
どくん!
突如、激しく胸が高鳴り、体中にバーッと血が一気に巡っていくのが分かった。
なんだこれは。
なんだこれは。なんだこれは。なんだこれは。なんだこれは。なんだこれは。なんだこれは。
なん·····
「ぬおぉおおおぉおおおーーー!!!!!」
カッ!と目が見開き、日陰は勢い良く立ち上がっていた。
「!!!!···に、にんげん···さん··?」
先程の引いてた時とは違う、今度は驚き、呆気にとられた顔の天使がそこに居た。
「·····はえ?」
あれ?俺、確かオネエ悪魔の攻撃受けて、死んだはず···
なんで逆に、元気百倍!アン〇〇マン!みたいに、みなぎって立ち上がってんだ?あれ???
「きっと、"闇"の力を受けて、元気になっちゃったのね。」
存在忘れてたオネエ悪魔が、そんなことを言いながら近づいてきた。
「は?"闇"??てか、まだ居たのか。お前。」
「ひどくなぁ~い?仮にも、主人公殺しかけそうになった最重要人物なのにぃー。」
と。その時。
バッと日陰を守るように少女の天使が前に躍り出た。
その瞬間。日陰は、あれ?とあることに気付く。
この子が近くにいた時は、あんなにゲーゲー言ってたのに、今は何ともないぞ···?
「なによ?そんなにガン飛ばしてきて。イヤな感じー。」
「あ、あなたは人殺しの悪魔です‼どうしてだか、……ウッ、人間さんは助かりましたが、人間さんを殺しかけたのは事実!!!そんな危ない人をッ……これ以上、人間さんに近づけさせるわけにはいきません‼ウぷッ。」
その天使の正義の独白に、オネエ悪魔は「疲れるわあ~、こいつ」という盛大なため息をつく。
「あのねえ、あんた。気付いてないようだから、教えてあげるけど、あんたが守ろうとしてるそこの人間さんは、」
「だ、黙りなさい!!これでもくらえ!えいっ!」
と。天使が両手を前に出すと、ポンッとなんとも気の抜けた音がしたと同時。テニスボールくらいの白い玉がフワフワ飛んでいき、悪魔の顔ら辺でシャボン玉のように軽くぱん!と弾けた。
「えぇっと、今のは···、渾身の一発芸か何か?」
日陰がそう問うと、顔を真っ赤にした天使が振り向いて叫ぶ。
「っち、違います!!!今のはれっきとした光属性の攻撃ですー!!」
それを聞いた悪魔が今度は「ぷー!!!」と屁···じゃない、大爆笑し出した。
「えーー!!ウソでしょー?今のが、攻撃ー?え、やだ、え?やだ、プププッ!!ねえ、ちょっと、プッ、私が知ってる攻撃と大分違うんだけどー!私が間違ってるのかしら?ねえ、私が間違ってる?ぷープププププ!!」
「っ····!」
ふと。天使を覗き見ると、きゅっと服を掴み、耳まで顔を真っ赤にして、悔しさで顔を歪ませていた。
「........」
ああ。なんだか、こういうの覚えあるな。
「ねえ、薄々思ってたんだけどー、あんたさ、もしかしてポンコツ、」
「笑うな。」
声は張ってないが、低くはっきりとした声がすると、悪魔は「あ?」と笑うのを止め、天使は驚いた顔でこちらを見たのが分かった。
「人の欠点をゲラゲラ笑うな。見てて腹が立つ。」
「はあ?なによ、あんた。急に正義ぶっちゃって。私が別にそこのポンコツ天使をバカにしたって、あんたには別に関係ないことでしょ?」
「..........」
関係ない。
そう、関係ないことだ。だけど、だけどじゃあ、
このイラつく感情は、何なんだよ
「いいから····笑うんじゃねえ。」
すると。次の瞬間、日陰の感情に呼応するように、日陰からゆっくり陽炎のように黒い霧のようなものが立ち込み始めた。
それを見た悪魔は、ビビるどころかウットリと、とろけた表情を見せる。
「あら~♡良い闇の気を出すじゃなぁ~い♡あんた。」
「あ?闇?」
一体、何を言ってるんだ?この悪魔は。
と。天使の少女に答えを求めるため、そちらを見ると。
「うげ~~~~~。」
吐いてた。
「えぇーーーーーーー!」
「す、すいません....。なんだか......先ほどから……実は気持ち悪くて......うっ、もう、限界……すいません.....わたし、この場からちょっと.....離れます...」
そして、天使はよろめきながらフラフラとどこかへ飛び去って行ってしまった。
「...........」
その、あまりにも衝撃展開に、日陰は半眼で見送るしかできず。
「ねえ、あんた。さっきも同じ質問したけど、なんで天使と話してたの?」
「......いや、死期が近い俺のこと迎えに来たって言って...、いや、違うか。直接は言ってないけど、多分、俺のことを迎えに来た天使で…。」
「逃げちゃったけど?その迎えの天使。」
「……ドウシテ……」
日陰は、その場にorzの恰好でくず折れた。
「ねえ、あんたさあ、人間では稀な”闇属性”でしょ?」
「あ?"闇属性"??俺が?なんで?」
「あら。もしかして無自覚?仕方ない。あんたの闇の気に惹かれてやってきた、このセクシーでキュートな私がト・ク・ベ・ツに♡教えてあげる♡」