これは反省会の意味もあって、担当したスタッフを始め全員の意見を参考に次に繋げるようにと、各自が新しい発見だったり次に活かすべき事を勉強している。
今日だってそれで終わるはずだったよ。
でも、今夜に限ってそんなに甘くなかった――――
太陽が完全に沈み、辺りが暗くなった頃。
いつもは残業で遅くなるけれど、今日の私は思った以上に昨日の失恋の尾が引いてたせいか、メンタル的にも早く帰りたくて残った仕事を早急に終わらせ帰る身支度をしていた。
「お疲れ様、凪くん!」
「待たせてごめん、茉莉愛」
仲睦まじいやり取りが聞こえてきたのは、更衣室から出た先の廊下から。誤魔化しようのない紛れもなく聞き覚えのある声と、その《《名前》》。
「今日は凪くんの家に行ってもいい?」
「うん、大丈夫」
確実に“鷹松 凪”と女性社員のイチャイチャ配信。そんな風にしか思えない。
聞きたくない。知ったらきっとまたショックを受けるから。でも知りたい……
私は葛藤の狭間の中、扉の陰から、そっと2人の様子を覗いてみてしまったーーー
「嘘……」
そこにいたのは、元カレの凪と女性社員。互いに向き合い目を見つめ合わせ、男の方は優しく女の髪を撫で、空いているもう片方の手でその手を繋いでいる。
私がいる事なんて、たぶん気付いていない。完全に自分達の世界に浸っているのが証拠だ。