新郎新婦が会場から出てきたところで控え室へと移動し着替えを行っている間に、私達も次の準備へと取りかかっていた。

「バブルシャワーの準備は大丈夫?」

 私の合図で、2人の女性スタッフがシャボン玉が自動噴出される機械を入り口の両サイドに設置。入場音の確認も済み、着替えを終えた新婦と新郎が共にスタンバイ出来たところで披露宴の後半が始まる、はずだったが―――

***

「お待たせしました! 着替えが済んだようなので、これより新郎新婦の入場です! 大きな拍手をお願いします!」

 仁菜の一声で会場内の灯りは一気に暗くなり、ゲスト達は入口の方へと体を向け一斉に拍手を送り始めたところで、アクシデントが起きてしまった。

『再入場はストップしてください! 子供達が泣き出しちゃいました!』

 待機していたスタッフからインカムに連絡が入り、入口の観音扉を開ける手がストップ。確かに扉越しに聞こえてくる拍手喝采の中に混じって聴こえてきたのは、子供達の啼泣(ていきゅう)
 入場待ちをしていた新郎新婦の耳にも届いていて、『もしかして子供が泣いてる?』と不安げに顔を見合わせている。
 
「どうしたの? 何があったの?」

 会場の外にいる私には、中で何が起きているかわからない。みんなが一斉に泣いてしまうなんて、何事かと緊張が走る。

 けれど『たぶん照明が消えたからだと思います!』と追加報告に納得。