探している間に部屋の事も少しわかって、ここはどうやらどこかのビジネスホテルみたい。ユニットバスや冷蔵庫まで完備されているからピンときた。
 でもなぜ私はいつの間にここに泊まったんだ……?

「ここはどこよ……」

 今までそんな経験した事ない私にとって、記憶がなくなるほど飲んで知らないホテルで寝ている事実が衝撃すぎて、痛む頭を抱えてカーペットが敷かれた床に膝から崩れ落ちてしまう。


 ーーーと、その時。

 コンコンと数回、ドアをノックする音がした……気がする。誰? 従業員? 私は呼んでないけど、何の用なんだろう。

 ドアを見つめたまま立ち止まりそんな事を考えていると、またコンコン……とノックする音が。
 不信にも思いつつドアチェーンだけ付けたまま少しだけ開けてみる……と、知らない男の人と目が合った。ってか睨まれてる?

 ドアの隙間から見える男の顔は、眉間は狭めで一重の切れ長につり目と、なんとも怖い。
 少なくとも従業員じゃないのは確か。これは危険な匂いがする。相手にしちゃダメなやつだ。

「あのぉ……部屋、間違えていますよ。では」
「おい、待て!」

 怒らせないよう穏便に終わらせて閉めようとしたのに、突然男はドアに手と足を突っ込んでそれを阻止してきた。

 怖い怖い怖い! なんなの、この人は!?