「おい、しっかりしろ!」


倒れそうになった時、私の身体は彼が支えていてくれていた。人間のように温かいぬくもりが伝わってくる。


あやかしって皆冷たいものだと思っていた。こんなに温かい人もいるんだね。


……あれ?なんだろう。さっきまで身体が痛くて一歩も動けなかったのに、だんだん軽くなってきた。けど、どうして急に…?


ゆっくりを目を開けると身体が光に包まれているのに気づく。

その光が私が持っていたお守りの光とか異なるもので、あやかしである菖が放っているものだった。

しばらくすると傷は癒え、自由に動けるまでに回復する。


「立てるか?」

「はい」


ここに来た時よりも身体が軽い。


「今のは一体」

北条(ほうじょう)家に伝わる癒しの力。傷や病気を治す。君は瀕死状態だったが、そのお守りが力を貸してくれたおかげでなんとか死なずに回復させることが出来た」

「このお守りが私の命を。あの、ありがとうございます。それと…身勝手なことをしてごめんなさい」