「私はこの世界にとって関係の無い“人間”です。でしたら、私が罰を受ければあやかしたちは誰も苦しまないで済みます。帰る方法も分からない今、ここで死ねるなら悔いはありません!」

「ならば望み通りにしてやろう」


式は手を私の前に出す。身構えているとズーンと身体が急に重くなる。骨が砕けそうな痛みが身体中に走る。


「瑞紀待て!その娘に手を出すな!」

「しかし菖、この娘は自分から罰を望んだ。この愚か者のあやかしの身代わりを自らかったのだぞ?」


菖と式の会話が微かに聞こえた。



そう、これは私が望んだこと。だから止める義理なんてないはず。なのにどうして、必死に止めようとするの?

あなたにとって、人間ってなに……?



意識が遠くなってきた。気づけば走馬灯のようなものが見えてきた。


頭をチラつくのは何故か知らない記憶ばかり。あやかしと人間が手を取り合って、それから……。



意識が完全に失われようとした瞬間、再びお守りから光が溢れ出す。身体が軽くなった。お守りの光のせいなのだろうか。

そんなことも考えられないほど私は心身ともに限界を迎えていた。