食事と眼鏡を取りに行き、戻ってきた橙花は縁側で腕を組みながら風になびかれる璃央に一瞬目を奪われた。璃央のその横顔は菖に似ていたからだ。
「…菖さん」
「ん?何か言ったかい?」
「あ…い、いえ。これ、食事と眼鏡です」
「ありがとう。……」
橙花は璃央の行動に違和感を覚えた。目の前に食事を置き、眼鏡を差し出しているのに璃央は全く別の方向に手を伸ばす。
「あの、璃央様?」
「あぁ、すまないが眼鏡をかけてはくれないか?」
「えっ?眼鏡ですか?」
なんでわざわざ自分に頼むのか橙花は不思議に思いながら、眼鏡を璃央にかける。かけた瞬間に璃央と目があった橙花は一瞬ドキッとした。
「すまないね」
「いえ。あの、璃央様ってもしかして…」
「うん。君が察している通り、私は視力をほとんど失っているんだ」
璃央の行動を見て、なんとなく気付いていたが、改めて聞くと驚いて息を呑んだ橙花。心臓がバクバク大きい鼓動が身体を揺らす。
「驚かせてしまったね」
「あの、いつから視力を?」
「何年前だったかな。今日のように雪が降る寒い日に、あやかしと交戦して少々無茶をしてしまってね。その時に両目を負傷してしまって」
人差し指で眼鏡を指さす璃央。当たり前のように涼やかな笑みを浮かべながら話す彼を橙花は少し怖いと思ってしまった。
視力を失うことは今まで見ていた景色があっという間に変わってしまうということだ。この美しい庭も大切な家族の顔も全て暗闇に染まってしまう。
橙花は痛む胸をギュッと抑える。
「すまない。君を悲しませてしまったね」
「…いえ」
「今は異能を施したこのメガネである程度は見える。しかし報告内容が書かれた書類は以前のように読むことが難しくてね。菖や瑞希に頼っているんだ」
「…菖さん」
「ん?何か言ったかい?」
「あ…い、いえ。これ、食事と眼鏡です」
「ありがとう。……」
橙花は璃央の行動に違和感を覚えた。目の前に食事を置き、眼鏡を差し出しているのに璃央は全く別の方向に手を伸ばす。
「あの、璃央様?」
「あぁ、すまないが眼鏡をかけてはくれないか?」
「えっ?眼鏡ですか?」
なんでわざわざ自分に頼むのか橙花は不思議に思いながら、眼鏡を璃央にかける。かけた瞬間に璃央と目があった橙花は一瞬ドキッとした。
「すまないね」
「いえ。あの、璃央様ってもしかして…」
「うん。君が察している通り、私は視力をほとんど失っているんだ」
璃央の行動を見て、なんとなく気付いていたが、改めて聞くと驚いて息を呑んだ橙花。心臓がバクバク大きい鼓動が身体を揺らす。
「驚かせてしまったね」
「あの、いつから視力を?」
「何年前だったかな。今日のように雪が降る寒い日に、あやかしと交戦して少々無茶をしてしまってね。その時に両目を負傷してしまって」
人差し指で眼鏡を指さす璃央。当たり前のように涼やかな笑みを浮かべながら話す彼を橙花は少し怖いと思ってしまった。
視力を失うことは今まで見ていた景色があっという間に変わってしまうということだ。この美しい庭も大切な家族の顔も全て暗闇に染まってしまう。
橙花は痛む胸をギュッと抑える。
「すまない。君を悲しませてしまったね」
「…いえ」
「今は異能を施したこのメガネである程度は見える。しかし報告内容が書かれた書類は以前のように読むことが難しくてね。菖や瑞希に頼っているんだ」


