「罰?」


あんなに悲鳴をあげるほどの罰って……。


「ここではむやみに人もあやかしも襲ってはならないという規則がある。それを破ったのはあのあやかしたち。罰を受けて当然のことだ」


この世界では当然のことかもしれないけど、

見えなくたって聞こえてしまった。辛くて、苦しいと叫ぶ悲鳴が。

私がここに来たから、あやかしたちは本能のままに襲ってきて。本当はやってはいけないことだって分かっていたはずなのに。


あの痩せ細った身体は十分に食事を取れていなかったからでは?きっとお腹が空いて我慢の限界だったんだろう。

だから私を……


誰かが傷つくところなんて見たくもなければ、想像もしたくない。危険なのは承知の上。


例えそれが、自分を襲ってきたあやかしでも…助けたい!


「もうやめてくださいっ!!」

「おい、キミ!?瑞紀、人間の娘がそっちに行った。早く止めろ!」


掴まれている手を振りほどいて、罰を受けているあやかしの前に立ち、背に庇う。


「何をしている人間の娘!こいつらはお前に危害を加えた。罰を与えなければならない」


彼は冷静だった。


この人の言う通り、私の方が危険なのかもしれない。けど、このやり方は本当に正しいの?傷つけられたから、傷つけ返すなんてそんなの、ひどい…。


「だったら、その罰は私が受けます」

「なに?」


これは自分がまいた種。関係ない人をこれ以上巻き込むような行為は胸が痛む。犠牲は自分だけで十分だ。