お守りが応えてくれたんだ。私があのあやかしを守りたいという気持ちに。


「橙花ー!」

「この声…菖さん!」


大量に汗を流した菖さんが駆け寄り、私を腕の中に強引に引き寄せる。


「無事か!?」

「は、はい!私は大丈夫です。心配かけてごめんなさい」

「全くだ。どれだけ心配したと思っている?お守りの光が無ければ、ここまで来ることは出来なかっただろう」

「お守りがまた守ってくれました。私と、そこにいるあやかしたちを」


腕の力を緩めて視線を大あやかしと黒いあやかしにやる。傷ついた彼らを見て状況が飲み込めてない菖さんに私から説明をする。


「君はまた、そんな無茶を…。ここに来た時のことを忘れたわけではないだろう?」

「ごめんなさい。無意識に身体が動いて」


叱られて肩を落としていると、大あやかしが弁解してきた。


「菖様、どうかこのニンゲンを叱らないでやってほしい。もとは我がまいた種。お叱りを受けるのは我だけで十分だ」

「お前の言い分も理解出来ない訳じゃない。だが彼女はここに来て同じようにあやかしを助け、生死をさまよった。守りたいのは俺も同じだが、おのれの命を大切にしてほしいんだ」

「だけどこのニンゲンに、罪はない。全部我のせいだ。この通り、今回ばかりは許してやってほしい」


大あやかしは痛む傷を庇いながら、地面に両手をついて菖さんに頭を下げて、私を許してほしいと申した。