そして知りたい。あやかしが人間をどう思っていたのか。互いの気持ちを知れば、きっと取り戻せる。


「菖様。お待たせしました」

「あぁ、ありがとうございます」


群青色の風呂敷に包まれた菓子を受け取り、店を出ようとした。すると、何やら様子がおかしいことに気づく。

菖さんは急いで外に出るとそこには何かに対して怒号を上げているあやかしいた。


「何しやがる!?」

「どうした?ん?」


あとから追いかけた私は横から顔を出して様子を伺うと、その視線の先には黒い動物が毛を逆立てて威嚇をしていた。


「キツネ?ですか?」

「どうやらそうらしい。しかし珍しいな。黒いキツネとは」


黒いキツネは動物園とか動画とかで見たことあるけど、この子の毛は漆黒。全身が真っ黒い毛で覆われていて、目はほんのり紫がかっている。