ーー今はお昼頃だろうか。あやかしの世界には太陽がない。ここの光の大半は異能の力が作用している。なんでも宝玉と呼ばれるお宝があるらしい。
ここはスマホの電波のない。だから時間は立ち寄ったお店で時計を見て確認しなきゃいけない。
最後に訪れた菓子屋でも私は時計を確認する。やっぱりお昼の時間になっていた。どうりでお腹が空くわけだ。
「腹が空いていると思うが、もう少し待ってくれ。当主がどうしてもここの菓子を食べたいと言ってな」
「私は大丈夫です」
甘い匂いでいっぱいなこの空間のおかげで空腹は少し収まっている…という都合のいい話はなく、むしろ加速している。
はぁ〜どれも美味しそう。人間の世界にある和菓子にそっくりだ。これも世界がまだひとつだった頃の名残りかな?
「いらっしゃいませ北条様」
「ご主人。久しいな」
店には白い職人服を着た男性のあやかしが出迎えてくれた。大柄で額には十字形の傷がある。
この菓子屋も昔から北条家が利用しているお店のひとつで、当主様のお気に入りらしい。
「橙花。こちらは菓子屋の主人で、瑞紀の父君だ」
「えっ!?瑞紀さんの!?」
どうりで体格や目もとがそっくりだと思った。瑞紀さんの実家って菓子屋さんだったなんてちょっと意外かも。
普段は厳しい表情で常に周りを警戒している。中庭ではよく鍛錬していることが多い、とても努力家だ。
ここはスマホの電波のない。だから時間は立ち寄ったお店で時計を見て確認しなきゃいけない。
最後に訪れた菓子屋でも私は時計を確認する。やっぱりお昼の時間になっていた。どうりでお腹が空くわけだ。
「腹が空いていると思うが、もう少し待ってくれ。当主がどうしてもここの菓子を食べたいと言ってな」
「私は大丈夫です」
甘い匂いでいっぱいなこの空間のおかげで空腹は少し収まっている…という都合のいい話はなく、むしろ加速している。
はぁ〜どれも美味しそう。人間の世界にある和菓子にそっくりだ。これも世界がまだひとつだった頃の名残りかな?
「いらっしゃいませ北条様」
「ご主人。久しいな」
店には白い職人服を着た男性のあやかしが出迎えてくれた。大柄で額には十字形の傷がある。
この菓子屋も昔から北条家が利用しているお店のひとつで、当主様のお気に入りらしい。
「橙花。こちらは菓子屋の主人で、瑞紀の父君だ」
「えっ!?瑞紀さんの!?」
どうりで体格や目もとがそっくりだと思った。瑞紀さんの実家って菓子屋さんだったなんてちょっと意外かも。
普段は厳しい表情で常に周りを警戒している。中庭ではよく鍛錬していることが多い、とても努力家だ。


