外で接客している店主の力を借りて、着物のコーディネートを完成させる。気づけば見違えるほど素敵なものとなり、鏡にうつる自分が別人のように見えた。


「よくお似合いです」

「ありがとうございます。なんだか自分じゃないみたい」

「胸を張って自信を持ってください。店主であるわたくしが、保証致します」


その言葉に背中を押され、背筋が自然と伸びる。せっかく選んだこの着物に恥じないように自信もっていこう。


初めに選んだ薄紅の着物はそのまま着ていくことにし、他の二着と着てきたのは屋敷に届けてもらうことになった。


「またのお越しをお待ちしております」


店の前まで見送られ、私たちは着物屋を後にする。新品の下駄がカランカランと音を鳴らす。新しい洋服を買った時みたいに心が弾むような気持ちで道を歩く。


「楽しそうだな」

「はい!菖さん」

「ん?なんだ?」

「さっきは生意気言ってすいませんでした。せっかく私を喜ばそうとしてくれたのに、あんな失礼な態度をとってしまって」

「気にするな。喜んでもらえたのならそれで良い」