「そんな……」


あまりに横暴だ。罪のない人間とあやかしがお互いを傷つけあって、深めた絆は一瞬のうちに消え去る。そんな簡単に壊れてしまうものだったの？

苦しい。けど、だからこそ伝えなきゃいけない。人間の世界に残っているあやかしへの気持ちを…！


「当主様」

「なんだ？」

「人間はあやかしを恨んだりなどしていません！世界を救ってくれたこと、綺麗な水を取り戻してくれたこと、今も尚、現代に生きる人間はその思いを受け継いでいます！！」

「橙花…」

「ゆっくりでいい。我々に教えておくれ。人間が残したあやかしへの気持ちを」


私は涙を拭き、両親に聞かされていた龍神様の話を伝えていった。人間はあやかしにとても感謝していた。青空を取り戻し、水を綺麗にしてくれたこと。


感謝の気持ちがあるから水龍神社が作られて、現代まで受け継がれている。

半信半疑だったあやかしの存在。こうして彼らに出会わなければ信じることなかっただろう。


私が彼らの誤解を解かなきゃ…！ずっとこのまま、お互いに苦しい思いをしてほしくない。