白龍の後継者

『私の力はまだ完全ではない。いずれまた会いに来よう。人間の娘よ、必ず迎えにいく』

「私…?」

「待て!お前は一体、何者なんだ!?応えろ!」


菖さんに応えることなく声の主の気配は消えていった。部屋は何もなかったかのように傷ひとつない。

夢?だったの?


「幻影か。厄介だな」


あれだけの騒動があっても、冷静に状況を分析する当主。騒ぎをきいて部屋にやってきた北条家の人たちに屋敷内に異変はないかすぐに調べさせる。

これが当主たるものの器。どんな時でも冷静に皆を引っ張る力があるからこそ、できる力だ。


「菖、瑞紀」

「「はっ」」

「あとで私の部屋に来なさい。人間の娘を連れてな」

「かしこまりました」


ーーひと騒動終え、しばしの休息を取った私たちは北条家の本邸の隣にある離れにやってきた。


本邸とは違って庭には木々や花が多く、中央には透き通った水が湧く池があった。


「当主。菖、瑞紀、橙花まいりました」

「入れ」

「失礼します」


菖さんを先導に瑞紀さん、私と当主の部屋に入っていく。入口には二匹の龍が彫られていた。


似ている。夢の中の龍と。


「揃ったところで早速だが、菖」

「はい」

「話してくれ。私が留守にしている間に何があった?」

「はい。それについては順を追って説明致します」