白龍の後継者

「菖の異能が効かないだと!?」


このままでは誰一人と持たない。頭の痛みが五感を支配して身体が思うように動かせない。


龍神様が本当にいるなら助けてください。私はいい。二人を助かれば、それで………。意識が遠のき始めた。何も出来ないまま終わってしまうのだろうか?


「諦めるのはまだ早いぞ」


声が聞こえてくると、辺りは闇から光へと変わる…!歪んでいた空間はもとに戻り、重い身体も羽のように軽くなる。

異能で開けられなかった襖はいつの間にか開いていて、そこには一人の男性が立っている。

顔立ちは菖さんによく似ていた。襟足が長い銀色の髪に深紅の瞳、細いフレームの丸メガネをかけている。


璃央(りお)様!」

「当主!」


この人が北条家の(あるじ)


「あぁ!うぅぅ…っ!!」

「橙花!?しっかりしろ!」


身体は軽くなっても頭痛はまだ治まっていない。それどころか痛みが増している。


「菖、まだ異能の発生源は去っていない。見よ」


空間が再びねじ曲がり始めた。窓の中心に黒いモヤのようなものが集まっていく。これが私たちを苦しめている異能の発生源。


「逃がすか!はぁっ!」


放った力がモヤに命中し、跡形もなく消えていく。頭痛はようやく深く息を吸うことができた。