白龍の後継者

覚悟を決めた私は箸を持って、戸惑いながら問いかけた。

「な、何から召し上がりますか?」

「そうだな、まずは魚をいただこう」

「魚ですね」


緊張で震えながら箸で煮魚を食べやすい大きさに分け、菖さんの口の前に差し出す。


「緊張しているのか?たかが食べさすくらい簡単だろう?」


無茶を言わないでください!こっちは恋人なんていた事のないからこういう事に免疫ないんですよ!?


「は、早く食べてください!?落ちちゃいますよ?」

「そうだな。では、いただこう」


口を開けて私が持っている魚をパクリと食べた菖さんは一瞬こちらを見てイタズラな笑みを浮かべた。モグモグと咀嚼をし、あっという間に飲み込む。

「美味いな。橙花もどうだ?」

「私は…!自分で食べれますから」


恥ずかしさのあまり、最後の方は小さい声になってしまった。想像しただけでパンクしてしまいそうになり、自分の席について朝食を食べ始める。

「あ、これ…」


もとの世界と同じ味。世界が違うから味も違うのだろうと不安だったけど安心した。些細なことなのに嬉しくなる。


「美味しい」

「口にあったようだな」


食事を終えたあとはお風呂に入ってさっぱりした。部屋に戻った私は窓を開けてひんやりとした風を浴びた。

いつも見ていた景色とは異なる景色。車の音や話し声、日中に聞こえていた音が一切なく、とても静かだ。


「私、帰れるのかな?」