白龍の後継者

「あぁ、これか。すまない。今直す」


私に背を向けてのんびりと着物を直し始めた。どこまでも冷静な人だ。


「直ったぞ」


着物は完璧にもとに戻っていた。けど、寝癖や眠そうな表情はそのままだ。


本当に朝に弱いんだな。まぁ、休日の私の似たようなものか。一日中、部屋着で過ごしてスマホと睨めっこ。たまに友達とカフェか街中を散策するくらいだし。


「ふぁ〜……」

「まだ眠そうですね」

「朝は苦手だ。君が羨ましいよ。着物も髪を整えられていて、俺には真似できない」


朝に特別強いってわけじゃない。

着物は帯を強く締めるから自然にこう、気持ちが引き締まるというかちゃんとしなきゃ!っていう気持ちにさせるみたいな?髪だって、まとめただけだし。


「朝食までまだ時間はある。橙花も部屋でゆっくりするといい。俺の部屋でもいいぞ?」

「ーーっ!!自分の部屋で休むので遠慮します!!」


たった数歩で着く部屋まで、全力疾走で走り戻った。勢いよく襖を閉めてカァっと熱くなった顔に手を当てて、その場にしゃがみ込んだ。


寝ぼけていると思ったらとんでもないことを言って。心臓が飛び出るかと思った。

整った顔だちに日々、鍛えているであろう引き締まった身体。おまけに眠くて緩んだ表情と寝癖。

かっこいい人がやったら世の中の人はみんな菖さんに夢中になっちゃう。

朝から刺激が強すぎるよ〜……。